溺れた魚

21話 ページ22

山)「おい。帰るぞ」

あ)「あ、今行く」

十)「またね」

あ)「はい！また」

赤、青、それから私達。
別々に分かれ、自分の居場所に戻って行った。

「にゃあ？」





あ)「厚、国広。明石さん。今日拾った」

山)「見れば分かる」

厚)「どこで拾ったんだ？」

あ)「部屋」

山)「盗んだのか」

あ)「違う！付いてきたの！」

明)「拾ったって…犬猫みたいにいいはりますなー。…自分、明石国行言います。よろしゅうたのんます」

そう言って、明石さんは堂々と寝転がった。
…狭。

明)「狭っ。あー、えらいとこきてしまいましたわ」

文句を言って。
そのまま寝始めた。

いや、自由か。

あ)「あ、そうだ。狐から結界もらったー」

厚)「お、いいもん貰ったなー」

山)「ただの紙切れじゃないか。騙されたのか」

あ)「卑屈か」

どうして、こう…マイナスなのかなぁ。
国広はもっと自信を持つべきじゃない？

って思う。
…と、ゆーか。

あ)「そろそろバイト見つけなきゃなー」

最近やめてしまった。
店長とそりが合わなかったからだ。

1人だけだったら、まだなんとかなりそうだったけど。
…今日から、4人。

かさばる。
何が、とは言わないけど。

なくなる前に、働こう。
端末から、良さげなバイトを探す。

…まぁ、夜が一番いいよね。
居酒屋とか、コンビニでもいいか。

厚)「大将ー、何見てるんだ？」

あ)「これ？バイト探してるの」

厚)「ばいとぉ？」

あ)「そ。働き先」

興味津々で、端末を除きこむ。
2人で見てると、視線がささった。

…いたいなぁ。

あ)「国広、言わなきゃわかんないって」

国)「べ、別に、俺は…」

あ)「ほら、おいでって」

国)「引っ張るな！」

なんだかんだ言って。
国広は寂しがり屋なんだ。

国)「ったく。服が伸びるだろう」

ムカつくけどね。



明)「はー。仲がよろしいことで」





十)「たっだいま〜」

「あれ、十束さん。ご機嫌だな」

十)「ん〜？今日そこで、…あれ？可笑しいなぁ」

「…なんだ、手ぶらか」

草)「なーんか腑に落ちへんわ」

「……女の人、探してる」

草)「あぁ！！しもた！あかん、綺麗さっぱり忘れてしもたわ」

十)「…なんで俺、あんな記憶違いしてたんだろ？」

「2人して忘れてたんすか？」

「…まぬけか」

草)「いやぁ、あの子、普通の子じゃないんや。…また1からかぁ」

十)「平気平気、なんとかなるって」

「……ここ」

「……なんだ、見つけたのか」

「……うん」

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