命令5ー6 ページ49
ノック音に、私は思わず舌打ちをする。
私には父親がいない。数年前に航空機事故で下半身を残して死んだ。
それからというもの、母親は酒とタバコと男とパチンコを生き甲斐とするという、絵に描いたようなダメ人間と成り果てた。
「……………はい」
不機嫌絶頂で返事をすると、もはや怒鳴り声に近い声で男が、「
碧とは私の母親の名だ。あまりにもクズ過ぎてすっかり呼ぶことはなくなった。昔は私と母親は仲がよく、「藍ちゃん」「碧ちゃん」と呼んでいたのだが。母親もそう呼ぶことを許してくれるくらいいい人だったのだが。
「……………母ならいませんが」
私は例のように不機嫌な声で応答する。
「いない〜っ？なんだよ碧さん、オレを呼んでおいてよぉ？」
男を家に連れ込まないでくれ、と再三頼んでいる筈なのだが、母は気にしていないようだ。
「迷惑なんで、帰っていただけませんか？」
扉を閉めたまま言うと、男は勝手にキレた。
「おい嬢ちゃん、人と話すならドアくらい開けねぇか？」
その台詞に、私は呆れ返る。
「勘弁してください。 見ず知らずの人と会話しているのにドアを開ける馬鹿がいます？」
「何だって？随分と失敬な子だな？？」
「チャイムも鳴らさず勝手に他人の家に上がり込んで、挙句の果てに説教って………どっちが失敬な常識知らずですか？」
「なっ………大人に何だねその口振りは………！！」
「迷惑っつってんです。帰れ」
「てめぇ………！！」
ドアの向こうの男が激昂したのが分かった。知ったこっちゃない。早よ帰れ。
と、その時。
ガチャ、と玄関のドアが開く音がした。
「あぁ？」と男は呟くが、直後声色が変わる。
「んだ、碧さんじゃねぇか！」
「ん…………？ あら、リュウジさん？ ごめんなさいねぇ、今ちょっと野暮用で出てたのよぉ」
「いいや、大丈夫だ。オレも今しがた来たばっかでよぉ」
「そう…………？ とゆーか、そこ、藍の部屋なんだけどぉ、何かウチの娘がやらかした？」
「いいやぁ？ 碧さんの居場所を聞いてただけ」
「そう？なら出掛けましょ。 藍！アタシは出掛けるから戸締まりしときなさいよ！」
私はその言葉に返事をしないで布団に潜った。
＿＿＿＿一体、どこで間違えたんだろう。
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仲矢みりり - 桜崎 紗代さん» ありがとうございます！ 凄くうれしいです。 夢が小説家なので！ 返信遅れてごめんなさい！ (2018年3月17日 18時) (
レス) id: 8503f2d058 (このIDを非表示/違反報告)
桜崎 紗代 - 表現の仕方、王様のメールの内容などなど、凝っていてすごいです…！小説家になれるぐらい上手です…！尊敬します！ (2018年3月8日 20時) (レス) id: 30a558eb97 (このIDを非表示/違反報告)
仲矢みりり - コユキ(非ログ)さん» 嗚呼ああああ、レス押すの忘れました；；申し訳ないです (2017年9月23日 18時) (レス) id: 8503f2d058 (このIDを非表示/違反報告)
仲矢みりり - 有難う御座います！うれ死すです！ 後程作品を拝見させて頂きますね！ (2017年9月23日 18時) (レス) id: 8503f2d058 (このIDを非表示/違反報告)
コユキ(非ログ) - 仲矢みりりさん» お久しぶりです！返信遅れてすみません！！とても面白い作品ですよ！私も見習わなくては…(笑)ありがとうございます！後程ご紹介させていただきますね！これからもがんばってください♪ (2017年9月23日 17時) (レス) id: dc136b33d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑川みりり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hpmpenakaya
作成日時：2017年4月20日 23時
