王様ゲーム【オリジナルバージョン】

命令5ー3 ページ46

茜のセリフに、その場にいた全員が戦慄し、驚愕を露にする。

「どういう事！？」
「説明しろよ類野！」

クラスメートが騒ぐなか、茜は珍しく涙声で言葉を紡ぐ。

「ウ……ウチにも分からへん！ トイレの個室が3つしかあらへんで、ほのかが最後でえぇ言うから、ウチらが先に入って、最初に出てきた心愛がほのかいない言うから、上の階のトイレ行ってしもうたんやないか思って探しに行ったんやけども、誰もおらんくて………慌てて3人で近くを探したんけど…どこにも………どこにもおらんの！」

ホントかよ？ という声が挙がるなか、私はハァと溜め息をつきつつ、声を出す。

「何にせよ………一回状況を整理するよ。 女子のトイレなんて、せいぜい1、２分程度だ。にも関わらず、その1、2分でほのかはいなくなったんだよね？」

「せ………せや！」

「外に出るにしても、必ずここは通る。とすると、ほのかは少なくとも敷地内にはいる。………茜、屋上への階段とかは見た？」

「屋上………？ でも普段はあそこ、立ち入り禁止やあらへん？」

「普段はね………。 けど、平日のこの時間は、婦人会のガーデニング教室を行う為に鍵が開いてるの、知ってる？」

「い、いや………知らんけど。 ほな………ほのかは屋上行ってしもうた言うんか！？ 」

「確証は無いけど………探してないんでしょ？ 屋上はまだ」

「う、うん…………」

「………そういえば、雫と心愛は？」

「今も2階を探してる」

「………そっか」

この市民会館は2階建て。 1階はこのカフェテリアと、いくつかの小部屋。 2階は大会議室や面積を取るイベントが行われている。 そして屋上がある。 茜の言う通り、普段は屋上は立ち入り禁止なのだが、奥様方のガーデニング教室や、天体観測なんかのイベント時には解放される。

そして今日は、その解放日に当たる。

「…………行ってみるか」

私がそう、呟いた時だった。

ドンッ、と、外の芝生広場(子供が遊べるちょっとした遊具があるサッカーコート1.5倍くらいの芝生敷きの広場が市民会館にはある)から鈍い音が聞こえてきた。

全面窓ガラスの市民会館は、中から広場が見える。 音のする方向を私は見て、戦慄した。

「きゃ……………キャアアアアアアアアアアアッッッッ！！！！！」

怖い物が嫌いなみずきが、あまりにも大きな悲鳴を上げた。

芝生広場には、血溜まりを作り、関節が変な方を向いたほのかが倒れていた。

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