第99話 ページ2
審神者様の本丸へ着き、私達は審神者様の部屋へ向かった
『失礼します』
「あら、いらっしゃい。三日月宗近も来たのね」
[付き添いだ]
「そう...」
『忘れ物を取りに来ました』
「悪いわね。わざわざ来て貰って」
『自分の物ですから』
「Aちゃんなら言うと思ったわ」
『忘れ物はなんだったんですか？』
「それが物じゃないのよ」
『も、物じゃない？』
審神者様の言ってる意味が分からない
「主よ。話はなんだ？」
『...っ！』
[三日月宗近...]
もしかして、審神者様わざわざ三日月さんを此処に呼んだの？
「....」
い、言わなきゃ
『み、三日月さん！この前は＿＿』
「お主は誰だ？」
『えっ...』
[お主、何を言っている？]
『三日月さん！私です！Aです！』
「すまんな。最近物忘れが酷くてな。何処かであっただろうか...」
[正気か？]
「お主、俺と同じ刀ではないか。同じ刀に出会うとはな」
可笑しい
三日月さん、変だ...
『三日月さん。本当に私のこと、分からないんですか？』
「すまない」
一体、何が起こってるの？
「あら、三日月。どうしたの？」
「何を言う。主が呼んだのであろう」
「そうだったかしら？」
「客が居るようなら、また出直そうとしよう」
『審神者様...』
「三日月が来るだなんてね...」
『あ、あの...』
「...三日月の記憶から貴女を消したの」
『えっ...』
[何...]
『どうして...』
「三日月が望んだのよ」
『三日月さんが？』
「貴女がいけないのよ。三日月を捨てたのだから」
『私が捨てた？』
「三日月を拒んだそうじゃない」
『...っ！』
「恋仲で、あんなに愛し合っていたじゃない」
『そ、それは...』
三日月さんの前で、わざわざ言う審神者様
三日月さんの顔が見れない
「三日月、傷付いてたわよ。今、貴女に必要なのは俺じゃないってね」
『あの時、拒んだのには理由があって、私は三日月さんに謝ろうと＿＿』
「無駄よ。三日月は貴女を覚えていないんだから。貴女の忘れ物は三日月の傷付いた心よ。受け入れなさい」
『...っ！』
「貴女はこれから、その苦しみを抱えていけばいい。そうだ。そんなに三日月にこだわるなら、そこに居る貴女の三日月宗近を代わりにすれば良いんじゃない？」
『三日月さんは代わりじゃない！例え同じ刀でも三日月さんの代わりは誰にも出来ません！』
「そう...でも、三日月には貴女の代わりは居るわよ」
『え？』
「恋仲が出来たのよ」
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2021年1月3日 9時
