第90話 ページ43
『...Aってさ、分かりやすすぎだよね」
『え？何が？』
「三日月とのこと、俺が知らないとでも思ってた？」
『し、知ってたの？』
「ずっと見てきたしAの変化ぐらい気付くよ」
『....』
「で、三日月のこと好きなの？」
『えっ！？な、なんで！？』
「三日月と居る時のAって、俺達と居る時となんか違うんだよね」
『そ、そうかな？気のせいじゃない？』
「俺にはそうは見えないけど」
『もしかしたら、安心するのかもしれない』
「安心？」
『前にお世話になっていた審神者様のところで近侍だったのが三日月宗近だったの。だから、その継続かもしれない』
「...それだけには見えないけど」
『え？』
「なんでもない」
私が三日月さんが好き...
加州にはそう見えてるんだな
確かに三日月さんは私にとって大きな存在かもしれない
だけど、好きなのかと聞かれて違うとは言えなかったのは事実だ
大事な式の最中、私は三日月さんのことで頭いっぱいで周りが見えていなかった
退屈な式が終わり、挨拶廻りをしている
加州は疲れたみたいで椅子で休んでいる
「Aさん」
『駿河さん』
「やっと会えた」
『お久しぶりです』
本当にいつ振りだろう
そういえば、彼も私と三日月さんのことを知っていた仲だけど覚えているのだろうか？
変に話題を出すのも良くないか
「元気？」
『はい。駿河さんは？』
「まぁまぁ」
『そうですか』
普通の会話だ
とても、交際している関係とは思えない内容
これなら、まだ三日月さんとの方が...って！
どうして今、三日月さんが出てくるの！？
「Aさん」
『は、はい。なんでしょう？』
「交際を始めて1年。そろそろ次に進みたいと思っていて...」
『えっ...』
「今日がチャンスだと待っていた」
『今日はちょっと...』
「そう言って、いつもはぐらかす。そろそろ許してくれても良いんじゃないか？」
壁へ追い詰める駿河さん
逃げ場がない！どうしよう！
『あ、あの...』
「せめて、自分のモノだと印だけでも付けさせて貰うまでは解放しない」
巻いているストールをほどかれていく
『や、やめて！』
助けて！加州！
「何をしている」
『み、三日月さん...』
「チッ、刀剣男士か」
『駿河さん、あの...』
「またの機会にする。次までに心の準備をしててくれ」
三日月さんの登場で、渋々諦めてくれた駿河さん
とりあえず一安心だ
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作者名：ゆきんこ | 作成日時：2020年9月22日 20時
