とある本丸の新人審神者は記憶が曖昧なようで (ページ41)

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第88話ページ41

年が開け新年会が近付いていた
新年会の日の近侍は順番的に加州になりそうだ

新年会...不安で仕方ない

栞さんの言うように審神者様は何を仕掛けてくるか分からない
恐らく、三日月さんを連れてくるだろう

出来ることなら...

『行きたくないな...』

[ならば、行かなくて良いのではないか？]

『三日月さん...』

[俺も出来ることならば、行かせたくない]

『え？』

[あの三日月宗近が居るのだろう？]

『恐らく...』

[その日、俺は近侍ではない。あやつは何をするか分からん。だから今、出来ることをしておこう]

『今、出来ることってなんですか？』

[虫除けだ。んっ...]

『ひゃっ...』

三日月さんの唇が私の首筋へ触れると一瞬だが
首筋がチクリとした

もしかして...

[随分と愛らしい声だな]

『み、三日月さん、今...』

[今一度、聞かせてくれ]

首筋にいくつかキスマークを付けていく
首筋に優しく触れては離れていく
時折、痛みを感じるがその痛みは嫌じゃなかった

『んっ...だめ...』

[はっはっは...力が抜けてしまったな]

『三日月さん...』

[そのような顔するでない。俺も可笑しくなりそうだ]

『え？』

[感情を知れば、理性も生まれてくる...やっかいなものだな]

『あの...』

[しばらく髪は下ろしておくといい。当分は消えないだろうからな]

『...っ！』

[当日、気をつけるのだぞ]

『は、はい...』

三日月さんが付けた印は、私を思い出させてしまうだろう

なにがなんでも隠さないと...

当日を迎え、私と加州は現世に向かった

「へぇ。ここが現世なんだ」

『そうだよ』

「三日月とも来たんだよね？何処か行ったりしなかったの？」

『その日は忙しかったからね。お土産屋さんに行ったぐらいかな』

「そうなんだ」

『今日はちょっとぐらいなら、寄り道出来るよ』

「じゃあ、デート出来るね」

『そうだね』

(言葉ではデートって言ってるけど、本当はちゃんとしたデートしたことないんだよな。手は繋いだことあるけど、それはAが危なっかしいからだし、ムードもないし...)

『加州、会場に行くよ』

「うん」

会場に着くと相変わらず、たくさんの刀剣男士が集まっていた

これには加州も驚いている

『凄いでしょ？』

「うん。でも、見慣れた奴ばかりだし楽しいかな」

『ふふ、私も』

楽しい新年会になれば良いけど...

「Aちゃん」

『審神者様...』

そう上手くはいかない