とある本丸の新人審神者は記憶が曖昧なようで (ページ5)

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第53話ページ5

もうすぐ三日月宗近が来る時間だ
緊張するな...

[三日月宗近だ。入るぞ]

『ど、どうぞ』

[はっはっは。堅いな]

『す、すみません...』

[隣、いいか？]

『えっ！？』

こんなに座る場所があるのに、どうして隣！？
しかも、返事してもないのにもう近くまで来てるし！

そんな状況でダメだなんて言えるわけがない

『ど、どうぞ』

[ふむ。ここが、Aの部屋か]

隣に座ると部屋を見渡す三日月宗近
昨日、顕現したばかりのせいか見る物すべてが珍しいようだ

『たいしたもの、ありませんよ？』

[だが、落ち着くぞ]
　
『そうですか？』

[もしかすると、そなたが居るかもしれんな]

『へっ！？』

間抜けな声を出してしまった

[どうした？俺は可笑しなことを言ったか？]

『い、いえ...』

間抜けな声を出してしまった...

[ところで、昨日と少し印象が違うようだが？]

意外と変化に気付くタイプなんだ

『ちょっと、メイクを...』

[俺が来るからか？]

『は、はい...まぁ、そんなとこです』

[はっはっは。そうかそうか]

何だろう
全て読まれてる感じがする

[背伸びする必要はないのだかな...]

『え？』

[そなたには、十分に魅力がある。俺は初めて出会った時にそう思った]

『み、魅力ですか？』

[それは笑顔だ]

『え、笑顔？』

[皆を包み込むような優しい笑顔をしていた。さぞ癒されるだろう]

『そ、そんなこと...』

[そして、そなたは愛らしい]

『あ、あい！？』

[今のそなたは綺麗で魅力的ではある。たが、俺が好きなのは背伸びをしないありのままのAだな]

好きとか、愛らしいとか凄い恥ずかしいことを淡々と言ってるんですけど！？

だけど、初めて言われた気がしないのは、どうして？
夢で三日月宗近と出会った？
それとも妄想してた？
わけが分からない！

[どうした？顔が赤いようだが]

『な、何でもありません！』

[気に障ることをしたか？]

『してません！』

[では、何故顔を隠す？]

『は、恥ずかしいからです！』

[恥ずかしい？]

『と、とりあえず怒ってませんし、その...嬉しかったので気にしないで下さい』

[あい、わかった]

はぁ...先が思いやられる