第63話 ページ15
あの日から、あの三日月宗近のことを考えてしまう
覚えていないのに懐かしいと感じたのはどうしてだろう?
それに審神者様の意味深な言葉も気になる
『はぁ...』
「A、手紙が届いていたよ」
『誰だろ?』
栞さんだったらスマホで連絡取り合っているしな
送り先を見ると、その手紙は審神者様からのものだった
『え?』
「またあの男からから?」
『う、ううん。見習いの時にお世話になっていた審神者様から』
「あぁ、この間、再会したんだっけ?」
『そう』
手紙の内容は、私の本丸に視察にくるみたいだ
「視察?」
『見習いを卒業して本丸を持った審神者は1年後に見習いの時にお世話になった審神者が様子を見にくるみたい』
そんな話、初めて聞いたな...
近侍の時みたいに、審神者様が個人的に決めたのかもしれない
『って!明日来るみたい!?』
「明日!?」
『掃除!掃除しなきゃ!』
「はぁ、落ち着け」
『落ち着いてる場合じゃないよ!あと、茶菓子も用意しなくちゃ!』
「ふーん、視察ね...」
「どうした?」
「いや、何でもない」
当日までに何とか部屋を綺麗にした
本丸は綺麗でも私の部屋は資料、自分の私物で散らかっていたのだ
結局、長谷部に手伝って貰ったけど...
「Aちゃん」
『さ、審神者様!いらっしゃいませ』
「そんな固くならなくて良いわよ。ここは貴女の本丸なんだから」
『視察と聞いたから、つい...』
「今日は三日月も連れてきたの。貴女に会いたいみたいだったから」
『え?』
「視察の邪魔はせんぞ」
「後でゆっくり話すと良いわ。じゃあ、案内してくれる?」
『は、はい!』
審神者様は一体、何を考えているのだろう
私に昔のことを思い出させたいのだろうか?
過去は過去
私は過去を振り返っている場合ではない
と思っているのに
モヤモヤとするんだ
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年9月22日 20時