陽の目にも涙【巴日和】 (ページ4)

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「さっきの店員さん何」

いつもより低い声にびっくりしてしまう

「キッシュと紅茶持ってきてくれたよ。あと、私たちが共演してるドラマみてるらしい」

「ふぅん。まあそれならいいけど、Aちゃんはよそ見しすぎな気がするねっ。今日は僕とランチなのに」

ドラマ撮影中には見せなかった可愛い一面が、こんなところで見れるとは思わなかった。

「ごめんね。でも、日和君とのドラマが視聴率いいみたいで私は嬉しいよ」

「うんうん!それは僕も一緒だね!」

紅茶に角砂糖をひとつおとし、いただきますと手を合わせて2人それぞれ紅茶を飲んでからキッシュを一口。

「美味しい!」

「僕の選んだお店だから当然だね!また都合が合えば一緒に行こうね!」

次の約束を取り付ける日和君に、ただの共演者で終わらない友達になってくれるということだと私は嬉しくなった。

「もちろん!日和君とこんなに仲良くなれると思ってなかったよ。最初は少し高飛車というか、威張りんぼかなって思ってたし」

「むっ、失礼だね!」

「今は違うよ!まるで太陽みたいで、この業界初めての"お友達"だから!」

「は?」

「え?」

日和君はムッと顔をしかめる

「お友達?君は全く僕のことがわかってないね!」

もしかして友達として認められないってそういうことなのだろうか。

お友達!なんて言ってはしゃいでいた自分が恥ずかしくなった。

パタパタ顔を扇ぎ、謝ろうとしたら

「少なくとも僕はずっと君のことを恋愛感情で見てたけどね」

恋愛感情?

頭にスキャンダルという文字が浮かんで、一気に顔に集まっていた熱が冷めた。

彼は18歳だ。それに今を輝く若手アイドルで、将来有望な人だ。

「申し訳ないけどその気持ちはしまっておいて」

「ううん!嫌だね。僕は絶対諦めないね!」

大きい声で高らかにそう宣言するのだから、こちらは焦りまくりだ

「声のトーンを下げて!店内の人にバレたら即拡散、スキャンダル!!」

少々荒っぽく彼の口を手のひらで塞ぐと大人しく声のトーンを下げて、机に突っ伏した

「じゃあどうしたらAちゃんは僕と恋人になってくれるの?」

彼は上目遣いでこちらを見てくる。顔の良さ相まって怯んでしまいそうになるけれど

「未成年との関係は持てない」

スキャンダルになったら事務所にも日和君にも迷惑をかけてしまう。

私はもう二十歳だし、私がきちんとしないと...。

こめかみを抑えて「私は大人」と唱えていれば

「じゃあ僕が成人するまで待っててね」

なんて