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ギャラリーはジュン君の一言からあったまり、笑える場面を含みつつ全てのコーナー進行が終わった。
そうして番組の撮影も終盤に差し掛かり、Edenからの宣伝と番組の終わりの挨拶をして撮影は終了。
スタッフの方やギャラリーや出演者の方々に挨拶を済ませて帰る準備を済ませたあと、テレビ局を出ようとしたところを日和君に呼び止められた。
バケットハットを被って、メガネとマスクをつけているのに日和君は私だとすぐに見分けていち早く駆け寄ってくる。
「お疲れ様」
「お疲れ様だね。Aちゃんたら、まさか下の名前で呼ぶなんて!びっくりしたね!」
「勢いで呼んじゃったけど、火に油を注ぐような感じでもないよね」
「はい、そこは殿下とAさんが上手いことしましたね」
茨君のコメントに胸を撫で下ろす。
また事務所に呼び出し、話し合い案件かと思っていたから大分安心した。
「よかったあ。じゃあ、私はそろそろ帰るね」
そう言ってバイバイ、なんて手を振れば
「せっかくなんだからもう少し話そうよ」
「え?...いいけど、どこで話そう」
珍しく凪砂君に引き止められたので驚いてしまったけど、凪砂君が私を引き止めるのは日和君のためだろう。
こうやってされると、日和君が凪砂君のことを好きな理由がわかってしまう。
「じゃあ焼肉でもどう?最近役作りで痩せないといけなかったけどクランクアップしたからいっぱい食べたい気分」
「セキララの館の打ち上げだね!」
「司会の人も誘った方がいいんじゃないすか?」
「あの方はこの後も別番組で司会させるそうだから、メッセージだけ入れておこう」
そうして私たちは焼肉屋さんへ。
個室に入り、早速お肉を頼んでお酒も頼んだ。
「やっぱり塩タンだよね」
「俺このいちご味の酒が欲しいっす」
「Aちゃんサラダ半分こしようね!」
「茨、チョコレートパフェがあるらしいんだけど..」
「閣下、今日だけですよ?」
そしてベロベロに酔った私達は赤裸々に色んなことを話し始める。
「私勉強するのが嫌で女優になったの」
「えっ?そうだったんすか?なんか意外ですねぇ」
「母の勧めもあったけど、小さい頃からずっと勉強が嫌だったの。まあ結局学校通いながら子役してたけどね。ジュン君は?」
「いやぁ、俺は親父の夢の引き継ぎを強いられたっていうか...。言い表し難いんですけどそんな感じです」
けど、きっと日和君と出会ってからそういうわだかまりも少しは和らいでいるのだろう。
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作者名:悪者 | 作成日時:2021年12月28日 17時