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『おはよう、今日はお仕事休みだったっけ』
「そんなことはどうでもいいね!Aちゃん!Aちゃん!!家に帰ってなかったけどどこに泊まったの?!」
『ううん、秘密』
「迎えに行くから教えて欲しいね!」
『ううん、今はお互い我慢しよう』
おひいさんは何で?と言いたげだったけど、何故か黙りこくってしまっていて
俺が後ろから名前を呼んでも、答えてくれない。
どうしたんだろうとおひいさんの顔を覗き込もうとしたところで、Aさんがすごく優しい声で言った
『泣かないで日和君』
俺は驚いた。ああ、この人は本当におひいさんのことが大好きなんだって。
物凄く、物凄く優しい声でおひいさんの名前を呼ぶんだ。
おひいさんもおひいさんで、Aさんに泣かないでと言われた瞬間ダムが決壊したかのように大粒に涙がこぼれ出す。
おひいさん的に人前で泣くのは彼の自尊心を傷つける行為だと思うけど、今はそんなのは関係ないらしい
机の上に新しく水溜りが出来始めそうで、太陽と言われるおひいさんは声を上げながら大泣き
「Aちゃん...!浮気したら許さないからね...!」
『しないよ』
「飲み会とかも全部断ってね!」
『頑張る』
「毎晩電話しようね?」
『毎晩?』
「毎晩だね!僕が折れてあげたんだからね!」
『わかったよ。ありがとう、日和君』
おひいさんの束縛に対するAさんのとんでもない包容力で、取り敢えず一件落着。
でも、おひいさんは泣きっぱなしでこの光景を茨が見たら何というだろうか...。
話が落ち着いてきて、おひいさんの世間話が始まり出す頃にAさんは
『じゃあそろそろ電話切るね』
と、手を振ってみせた。
けどおひいさんはキョトンとして
「えっ?もう切っちゃうの?Aちゃんは僕とお話ししたくないんだね?」
この人はどこまでAさんに迷惑をかけるつもりなのか...。
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作者名:悪者 | 作成日時:2021年12月28日 17時