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まだ少し名前がしれてきたばかりで駆け出し女優だった私の所にマネージャーからの突然の報せ
「アイドルと共演ですか」
「はい、Edenというグループの巴日和さんとのダブル主演です。」
次出演することに決まった学園恋愛ドラマの相手役にアイドルが抜擢された。
あいにくアイドルに興味がないから、Edenという名前を聞いたことがなかった。
共演する相手だから、ある程度情報を得ておこうとネットで"巴日和"と検索すれば、身長体重と一緒に年齢が出てきた。
「18歳?!」
私もつい最近20歳になったばかりではあるが、18歳とドラマ共演で恋人を演じるのは御法度なんでは??
マネージャーに問えば、「学園恋愛物語ですし流石に度を超えたことはしないですよ。多分大丈夫でしょう」と憶測で私の不安をはねられた。
そうしてドラマ撮影の日をむかえてみれば案外すんなりと撮影を終えることが出来た。
第一印象、巴日和さんはとってもいいキャラをしていた。
巴財閥という財閥の御曹子らしく、わがままで傍若無人なところも見かけられたけど
初めてのドラマ撮影に真摯に向き合い、ドラマ最終回まで本業アイドルと思えない良い演技をしてくれていた。
それに明るい性格のため現場の雰囲気作りに彼は適任で、本業女優の私が思うように演技できない時、彼に助けられた場面もあった。
18歳とは思えない仕事ぶりに、本業女優20歳の私は脱帽だった。
そんなドラマ撮影も終わり、私は日和君にお誘いを受けて、主演2人でのプチ打ち上げに参加した。
「ここのキッシュがとても美味しくてね!Aちゃんにも食べて欲しいね!」
御曹子というからお財布に何十万円を潜ませていたけど、日和君が連れてきてくれたのはこぢんまりとしたカフェだった。
「キッシュね。じゃあキッシュと紅茶も頼もうかな」
「ぼくもキッシュと紅茶がいいね」
ドアを開ければ、人もポツポツとしか席についておらず、本当に知る人ぞ知るといった感じのカフェらしい
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
「はい、2人です」
「では、お席の方ご案内致します」
20代ぐらいのお兄さんが丁寧な物言いで受け付けてくれ、窓際の2人席まで案内してくれた。
カフェの雰囲気だけではなく、店員さんもとても感じが良いみたい。
オシャレなカフェにウキウキしてる私をよそに、日和君は席について注文を済ませたらすぐに話を始めた
「Aちゃんはああいう男の人が気になるの?」
あれ、私そんなにあのお兄さんのこと見てた?
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作者名：悪者 | 作成日時：2021年12月28日 17時
