原石が輝くとき。 (ページ6)

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第4話特別任務はお断りページ6

校内の端っこの廊下で、荒木先生は待っていた。

「まずは入学、そして特待の獲得おめでとう。
突然の明るくない話に驚いたと思うが
それでもなお、うちの倍率は50倍を超える。
しかも女子はここ20年ほとんど入ってきていない。
がんばったな」

「はい、がんばったので」

「からの？」

「古w」

「えっ」

こういう先生の対処法は心得ているので、少し馬鹿にしたように笑って言った。

荒木先生は一瞬呆気に取られたが、気をとりなおして話を変えた。

話題変えるの早いよ、この人。

「特待生であるお前には、特別任務を課す。
入学式でした話は、誇張でも脅しでもない。
廃校の可能性はこの学園を襲う、今そこにある危機だ」

一旦忘れろと言ったのはどこの誰だったかな。

「授業料をふんだくらない良心が、学園を苦しめている。
そこで決めた。特待生、お前にはこの学園を救うという
崇高かつ重要な使命を与える」

「めんどくさい任務ですね分かります」

「お前な……身も蓋もないぞ。
ユニットたちを協力させ、学園を統一し
あるビッグな公演を成功させろ。
マスコミや声優事務所も招待する、大々的な公演だ。
成功すれば宝石が丘の名は輝きを取り戻すだろう。
寄付金が集まり、事務所の契約もとれる」

「そうですか、頑張ってください」

「…は？」

また、先生が呆気にとられていた。

私は学園の名自体は今までも使えると思っている。

廃校までに事務所と契約と、実力さえ身につけば問題はない。

「言っておくが、お前に断る権利はない。
いや、正確にはあるが、おすすめしない。
もし断るなら、特待生の権利も剥奪だ。
学費・寮費は自己負担となる。
せいぜいがんばって納付するんだな。けっこうするぞ」

「そうですね。
1年くらいなら私個人の貯金でどうとでもなります。
もし、退学処分にするのであれば、裁判を起こします。
話は以上ですか？では入学式に戻るので」

「マジか…何者だ、お前」

「私をやる気にさせたいなら、それなりの脅しの材料を持ってきてください」

それでは、と頭を下げ、踵を返す。

10分休憩のはずだから、入学式ってまだ続くのだろうか。

どのタイミングで新入生代表の言葉とか振られるんだろう。

てか言うの？あの話の後で？

「特待生さーん、早く早く！呼ばれてる！」

ステージの袖から顔を覗かせた誰かに、ステージまで促される。

展開が早い…。身体がいくつあっても足りないぞ、このままだと。