第9話 ページ10
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私が車に乗るのを確認すると、中原サンは「予約完了」と前を見据えて発車した。
息を吸うと、それはそれは奢侈な香りが鼻腔をくすぐる。
『流石マフィア幹部』
ボソリと呟いて凭れると、ふわりとしたギャザーが背にフィットした。悔しくも居心地が善い。
いくら荒稼ぎしているんだろう
どうしたらこんな高級車が手に出来るんだろう。
まあ私には無縁な話だが。
『…中原サンって何歳ですか?』
赤信号。
私がそう聞くと「それ、やめろよ」とハンドルに寄りかかり、次にはぁ、と溜息をついた。
「敬語じゃなくていい。今から償う相手に敬語使われるのはどっかむず痒いしな…。22、手前は?」
『はあ、なるほど。21ですけど。』
落ち着いてンなぁ、と一言。
マフィア幹部は敬語の方が慣れて居るのでは?と思ったが彼自身が望んでいるのだから善いのだろう。遣わないけど。
それにしても22歳で幹部か。そりゃあ家も飛ばせる筈だわ。
「着いた」
『着いた?』
頭の中でそう確信した直後。運転が快適過ぎて気付かなかったが、どうやら目的地に着いたらしい。
行くぞ、と声を掛けられたので一緒になって降りる。
と
『……着いた?』
「中原幹部、お待ちしておりました」
着いたって意味知ってるか?
目の前に広がっていたのは
_______私達の為に今開かれたであろう洋服屋さんだった。
しかも、あれは洋服、と云ってもただの服ではない。
私が目にしたのはTVの中だけだろうか。
生地やデザインが其処らの襤褸切れと比べ、全く服に見えない。謂わば金で出来た服。
『ちょ、意味判らない』
「傘下のブランドショップだ。特別、今の時間から開けて貰ッた」
『ひい』
そう話す私達を出迎えたのは複数の黒服だった。
中原サンの事を「中原幹部」と呼び、何やら話し込んでいる様子。
キョロキョロと見渡すと、その中には所謂
『……中原サンの趣味?』
「な訳ねェだろ」
『ええ?』
手を強引に引かれ奥へと進む。
「明日の服が必要だろ。後、寝巻きとか靴とか、…女は色々必要だろ」
『…うん?』
そういうことね。
明日の服、となるとやはりこの人は全てを弁償してくれるらしい。お洋服、靴、身に付けるものを一から全て。
私生活ねえ。ああそう云えば、
『_____私の家を吹っ飛ばン、んむ!?』
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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