第6話 ページ7
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異能力を使ったら粉々になってしまいました
______それじゃ伝わる訳ねェだろ…!
女は眉間に皺を寄せ、それから呆れと疲れを同時に吐き出した。
そりゃそうだよな。こンなんで“家が吹き飛んだ(笑)”なんて納得いく訳ねェし
『兎に角私に即金二億』
「だ、今説明するッつーの!
…善いか、よく訊けよ。一回しか云わねェからな」
立場的に最底辺の俺は息を呑んだ。
「異能力、だよ。丁度手前の家があった隣で「心中を断られた」と嘆く嫌いな奴に会った。だから苛立って、___其奴に異能力は効かねェのに、勢いで最大の力で殴っちまった」
伝わってるか、そう、確認したくも女の反応を伺うのが怖くて見れねえ。だから俺はそのまま早口で続けた。
そう。そしたらこうだ。
異能力は彼奴に効かず、彼奴も家と共に俺の力で飛んでいった。それまでは善かった。が、そしたら家は、躱された異能力の力にぶつかり吹っ飛んだ。気付いた頃には遅れた衝撃で空中で粉々になった。
こうして冷静に口に出してみたら、自分でも何を云っているのかサッパリだ。
女の気持ちは善く判る。
粋なり目の前で知らない男に家を吹き飛ばされて何を信じろッてンだ。
チラリと隣を見ると、そいつは驚きもせず小さく口を開けた。
『その異能力ってやつで家は戻せないの?』
「家を戻す異能なんて聞いたこたねェよ…」
『はあ?再生とかでしょ』
「あ?…ああ、あるな。
けど破片諸共散り散りに吹っ飛ンじまった以上不可能なんじゃねェか?」
女は酒も提げてるし
ダラダラと汗が伝い罪悪感が胸を襲う。
助けを求めるのが一番か?けど首領や彼奴に電話してみろ。
家を吹っ飛ばしてしまいました
なんて。…笑われて終いに決まってンだろ……。
頭を抱えた。今日は頭を抱え過ぎた。否、人生で初めてこんなに腰を低くした。
どうする事もできねえよ。そう。自分で、…自分でどうにかするしかねェよな。
焦燥が胃を焦がしてキリキリと痛む。
手には落ち着きがなく、力を入れたり抜いたり繰り返す度に手袋の擦れる音がした。2人に流れる沈黙は俺を一層焦らせる。そして気づいた頃には、何故か口を開けていた。
「弁償するから」
俺は何を思ったのか
次に汗が流れ落ちた時には、そう口走っていた。
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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