第19話 ページ20
ピンポーン
二回目のチャイムに唾を飲む。
『なか、中原サン、来客ですよ』
ハッとしてまた肩を揺する。が、中原サンはピクリともしない。寧ろ其処に、何時もの整った笑みは無く…
「……ふ、」
ふにゃり、と蕩け微笑むお顔。
『____う"、だから!来客ですよって!』
駄目だ、見ちゃダメだ。
思わず手で中原サンの視界を遮り我に返る。
危ない。こういう時のイケメンは卑怯だと思う。すっごく駄目。
子供っぽくへらへらと笑って、少し火照った顔でコテン、と首を傾げるのだ。
どうしよう、早くしなきゃ
きっと来客は扉の前で業を煮やして待っているだろう。
『…しょうがない。そう、しょうがないよね』
中原サンが必死にこの事態を隠している事は知っている。けれど今は緊急事態中の例外。そう、例外。
酔い潰れた中原サンを他所に玄関へと向かった。
お酒が弱いにも関わらず飲むのがいけないし。
自業自得だ。
『お待たせしま___』
どういう事か
焦りと葛藤を胸にオート式の扉を開けた。
矢先____________
「愚者め…」
何者かにそう呟かれ、次には黒い何かが私の視界へ突っ込んできた。
『うわ、!?』
それは目前でピタリと止まる。
口元を抑えた男も、ピタリと止まって目を見開いた
「……、な、貴様は…?」
『え、其方こそ何方様ですか?』
どうやら見当違いだったらしい。
箱から出てきた私を一瞥し、その男_____色白く細身の____は眉を顰め「…そう云う事か」と静かに頷いた。
何がそう云う事なんだろう
それより、錯覚だったのか。
化け物の様に見えた黒い何かは彼の着ていた外套だった。
「中原さんの…、ええと、済まない。僕はそれ程詳しく無いのだが_____之を首領からだと伝えてはくれぬか?」
『…はい』
意味不明な発言の最後に、紙を渡され見詰められる。
きっと会社の後輩さんか何かだろう。
彼が口に手を当て咳をした後、目が合った。
『……どうしました?』
「いや、中原幹部の趣味が理解出来た。明日にでも話を持ち掛けてみよう」
『はい?』
…会話の趣旨が全く理解出来なかった。なんだか私の周りには不思議な人が多いな。なんて。
「…僕の使命は言伝のみ。遅くに悪かったな。失礼する」
『お疲れ様で_____あ!待ってください!』
気づいた様に声を上げると、男の人は気難しい顔で振り向き「何事だ」と戻って来てくれた。
本当に申し訳ないけど…
『ちょっと、寝室に運ぶの手伝って貰っても善いですか?』
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しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - 面白すぎます (6月16日 20時) (レス) @page40 id: a5183fd4ed (このIDを非表示/違反報告)
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