第16話 ページ17
甘い香りに誘われて
本能の赴くまま、見事に足が操られる。
先程の事なんてすっかり忘れて
濡れた髪もそのままだけど、一目散に其処へ急いだ
「____ああ、もう出たのか。どうだった？」
『な、なな中原、さ』
其処には、間違いなく私に気づき声をかける中原サン____とフライパン。
煙は私を誘惑する様にお風呂場へと続いていた。
「はは、驚きすぎ」
もうその光景に開いた口が塞がらない。
金魚みたく口を
だって、それは、葡萄酒と相性の善い
『若しかして中原さ』
「ン」
『ふッ、！？』
突如______その口に、直接何かを突っ込まれた。
皆まで云うな。
ニタニタと愉しそうに弧を描く中原サンは次に
「もう少し我慢な」と意地悪に、私の口からフォークを離す。
ふわり、と口の中でまろやかな卵の風味が広がった。
私の為に冷ましてくれたんだ、と思いながら、少しギャップ萌えと云う物に胸を打たれつつ。
こ、れ……は、矢っ張り____
ハッと中原サンを見て、パッと周りに花が咲いた。
『カ、カルボ』
が。
「はい味見は此処までー、部外者は精々其処らで完成を待ってるンだな」
『っ、ちょ、えええ』
背中を押されて台所を追い出された。何だ、何なんだ。しかも中原サンも一緒に此処を離れる気だ
『ここまで欲させといてお預けなんて酷』
態と食べさせて、後はお預け。
そんな酷い仕打ちに反論しようとした時、「さっき云っただろ」と呆れた中原サンは、お風呂場へ向いた足を止め振り返る。
「……俺と葡萄酒、飲みてェよな？A」
.
そういうのは狡い。
黙りこくッたAの心が手に取る様に判るのは、俺がそうなる様に仕組んだからだ。
まんまと、子供の様に目を輝かせてくれた
『……卑怯です、』
「卑怯？そりゃ飛びッきりの褒め言葉だな」
俺の服を着てムッとするAを最後に風呂場へ向かう。
開き直るか、偉く静かに俺を待ってるか。出た後のAの様子を思い浮かべ溜息を吐いた。
(……どっちが卑怯だよ)
頭に手を当て洗面所の鏡を見詰めた。
平気だよな。顔に出てたり…してねェよな？
「……あああッたく！」
俺の服を着て、俺の匂いを纏って、俺の料理に胃袋を掴まれて。
驚かす所じゃ無かった
見事悩まされているのは、……俺の方だ。
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (
レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか？設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか？なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ！！！ (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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