第12話 ページ13
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家が吹っ飛ばされました。
そんな事も忘れてしまい、死ぬ程ぐっすり寝れた朝はとても気持ちの善いものだった。
「どれがおすすめ?」
起きてからは高級朝食ビュッフェ。
ホテルを出れば仕事場まで送ってくれるタクシー。
そんな夢みたいな朝で、昨日の疲れは全て吹き飛んでしまった。
「どれが美味しい?」
真逆夢じゃないよな……。なんて、頬を抓ってみる。痛い。あ、夢ではなさそうだ。
「____おーい。Aちゃーん?聞いてる?」
『え、あ、はい。何ですか』
聞き覚えのある声に引かれ、前を見た。
カウンターの前に立っているのはうちのお店の常連客だ。
その人はお札を一枚置いて笑顔で云う
「君が選んでよ、ね?」
『…はあ。甘いのですか?それとも珈琲?』
「Aちゃん」
『…はあ』
下のケーキを見比べれば、お客はその整った笑顔で手を差し出した。
何で名前を知っているんですか、と前に尋ねれば胸元のプレートを指されたのでそこは突っ込まない。
……この手は、どうすればいい?
「ふふ、
何てね、困った顔が見てみたかっただけだよ。
______何時になったら私と心中してくれるんだい?」
『だから、一昨日も昨日も…執拗いです、お客さん。お客様改め_____』
__________太宰さん
そう云うと、男はカウンターに寄りかかり、肘をつきながらその包帯まみれの手で私の手をとった。
「君が断り続ける限り、私はまた今日も明日も明後日も来るよ?」
『うちのメニューに心中の文字は御座いません。
ケーキ、買ってくださいよ…』
云いたくなかったが。
太宰さんの頬に貼られた大きな絆創膏、ギプスの付けられた右足を見て思わず口にした
『それ、どうしたんですか』
「心配してくれるのかい?もう、Aちゃ」
『手離してくれません?』
結構力強いなおい
どうしたらそんなに大きな怪我が出来るんだろう。昨日は無かったし、と
……駄目だ、仕事中の記憶、殆どこの男に占拠されていて何がなにやら。
「Aちゃんこそ、昨日より少し色気づいた?」
『はい?あー…』
昨日、高いホテルに泊まったからか?それとも高い洋服を買ったからか?
心当たりはある様な無いような。
…うん、あるな。
勘づかれない様にしな____
「昨日なにかあった?」
『ふぐッ、お』
思った傍から之だ。そりゃ変な声も出るよね。
店長、この人出禁にして下さい。
そんな事を唱えながら
私は息を潜め、只管退勤時間を待ち続けた。
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レインボー文豪娘 - このぶっ飛んだ始まりと、「また家を吹っ飛ばしに行く」というセリフが素晴らしすぎました。最高でした。 (4月14日 22時) (レス) @page40 id: d65177cced (このIDを非表示/違反報告)
しおぽんら(プロフ) - テトさんと同じなのですが、プリ小説という小説サイトで活動していますか?設定もセリフも同じなので気になってコメントさせてもらいました。リンクはこちらですhttps://novel.prcm.jp/novel/U7KPVPevcPuDxlQlBkXn (9月2日 17時) (レス) @page1 id: 535c2b64b5 (このIDを非表示/違反報告)
テト(プロフ) - 初コメがこんなのですみません。あの…プリ小説という小説で活動していますか?なにやらプリ小説内で先程こちらと似たような作品を見つけまして…もしかしたらこの作品がパクられているかもしれないのでコメントさせてもらいました (8月30日 15時) (レス) @page1 id: e3b6735391 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品ありがとうございますっ!!! (8月18日 12時) (レス) @page18 id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
未栄 - 最高すぎて鼻血出るかと思いました (8月1日 13時) (レス) @page40 id: af42dbf40e (このIDを非表示/違反報告)
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