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第13話 ページ13

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予想外の答えに何故か私が驚くと言う奇天烈な展開。
思わず、『いいんですか』と問えば
「ドス君が自由にさせろって言ってたからね。行ってらっしゃい!」なんて天真爛漫な答えが返ってきた。


『……本当に拘束しないんだ』


でも、そのお陰で私は今、狐につままれたような気持ちで久しぶりの青空を拝んでいる訳だけど。


───“ドス君が”。

またあだ名で呼んで居たなぁと浮かぶ姿。依然として彼の考えて居る事は判らない。

そういえば、さっきはあの白い帽子を被ったその人を見掛けなかったけれど、まだあの暗い部屋に居るのだろうか。



『(ていうか仕事……?仕事って殺人……?もう、本当になんにも判らないよ……)』



そうこう考えている内に、私の眼前に目的の建物が見えてきた。廃れた森林から少し離れた何時もの街の中。

辿り着いたのは、私が誘拐される前────三日ほど前まで住んでいた久しぶりの集合住宅(アパート)

真逆本当に帰って来れるとは。
このまま逃げても……なんて迂闊な考えが───



「───Aちゃん?」



そう、一階にある自分の部屋の扉を見詰めていると、不意に隣の部屋の扉が開いた。ビクリと揺らした肩のままそちらを見る。出てきたのは、此のアパートの大家さんだった。


「お、大家さんかあ……」

「丁度よかった。相談もなしに急に引越しだなんて寂しくなるじゃない。如何したの?同棲でも始めるの?」

「引越……えっ、同棲ですか……?」


出会い頭に聞き覚えのない言葉をぶつけてきた大家さん。
誰が?何の話?と困惑する間もなく、大家さんは「たまには遊びに来てね」と途轍もなく悲しげな顔を私に向けた。


「わ、私ですか?!」

「Aちゃん以外に誰が居るっていうのよ〜!
あの背の高い彼、彼氏さんなんでしょう?」

「え、え……背の高い……?」


待って、大家さんは何の話をしているの?
全くついていけない会話の内容にはてなが量産されている。
私のドッペルゲンガーでも見たのかな。いや。でも、その前に。



「大家さん。私彼氏なんて……」



弁解しようと向いた先。大家さんと目が合わなかった。
それと同時に、ガチャ、と扉の開く音が聞こえる。



「ほら、まるでモデルさんみたいで……羨ましいわあ」



大家さんの見上げた視線の先。
勝手に開いた、家主が目の前にいる家の扉────私の家の、扉。


何で。


何で──────





「……おや。これはAさん、おかえりなさい」






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すみれ(プロフ) - 続き待ってますT  ̫ T大好きです!! (11月24日 1時) (レス) @page22 id: afb728284e (このIDを非表示/違反報告)
橘スミレ(プロフ) - ヤンデレ感が大好きです! (2023年7月7日 2時) (レス) @page22 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - ヤンデレ感がほど良く良きかなぁっって感じです! (2023年4月7日 9時) (レス) @page15 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
りり - この作品、面白くて大好きです! ドス君可愛すぎて悶絶してます!応援してます!頑張ってください。本当に最高です!! (2023年3月14日 14時) (レス) id: a887dfa2de (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク - ゴーゴリ君とドス君かわいいです(*´∇`*)ほんとすきです!応援してます‼ (2023年3月3日 23時) (レス) id: f2a2ba5f11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高澤白 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2023年1月31日 20時

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