雨 ページ7
嗚呼、今日は雨ですか____。
静かな目元に素晴らしい隈を創る眼鏡の男____坂口安吾はそう心の中で繰り返し、再び溜息を吐いた。
彼女が遅刻をしない日。それは今朝の天気予報が雨を指していた事に直訳される。
そんな悩みの種を蒔くのは時に自分の部下_______日外Aである。
日外Aは秘匿の異能特務課主力のエージェントに対し、ある理由で片側では軍警察の警視監を務める正にエリート中のエリート。
異能を管理し無法者を刑務所へ送り届ける。
齢僅かの若い娘が二組織の基幹と成るなど前代未聞だ。
だけれど、
「日外君。…日外君、…………A!!!!!」
「うわっ、はい!?」
何故そのエリートが真昼間から真っ暗なパソコンに向かい両手を擦り合わせている?
何です?と僕の声に慌てふためくAは仕事など塵ほど重要視していなかったのでしょう。それが、雨の日なら尚更。
「……僕は今日から照る照る坊主を作りましょう。個人的なツテを使って他の組織の方々にも手伝って貰い勝算」
「わああやります、やりますよ!安吾先輩(意外と)お友達多いから厭だ」
「そうですか。意外でしたか?で、パソコンの神様には何のお願い事をしたんでしょうかね」
そう呟くとAは盛大に噎せ、そして次には顔を真っ赤に染め手で覆い始めた。
日外Aは、見知らぬ相手に憧れを抱いている
異能特務課内で知らぬ者は居ないだろう。
「あ、雨だ」
「本当ですか!?本当だ!!!!!」
一々反応が煩い。
両耳を塞ぎ、立ち上がるなり目を輝かせるAを横目に資料を覗いた。
「…出来れば僕は関わりたくないですね」
「安吾先輩の手を煩わす事は一切ございません、さあやるぞ!」
雨が降る日。
それは日外Aがいつになく仕事に勤しむ、希有な日でもある。
「精精頑張って下さいね。______いつ雨が止むか、僕らには判りませんから」
何年も此処に務め荒波に揉まれてくると、予感というものは自然と身につき働いてくれる。
それが善い方向でも、悪い方向でも。
今回はどうだろうか
「資料写真は後程手配しますから」
ポートマフィアの、特異点対象。
之は日外A、ただ一人にしか遂行出来ない任務であり
「はーい、ふふ、早く時間よ経ってくれ」
日外A、一人にしか辿れない運命。
それがたとえ悲しい結末になったとしても、だろう
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にんじんさん。(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます…! (2019年6月4日 16時) (レス) id: 13fcb4bada (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - あなたもしや…、中也推しですか!? (2019年1月7日 0時) (レス) id: b607d0f086 (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 白井なでしこさん» コメントありがとうございます。ありがたい言葉ばかり並んでおりますね笑とにかくありがとうございます!頑張ります! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - 月ノ輪さん» ひゃー、お世辞でも嬉しすぎます…。前作もありがとうございます!そのコメントだけで次も頑張れますので期待に応えられるように書いていきますね!コメントありがとうございました!! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
高澤白(プロフ) - ユーナ橘さん» ありがとうございます…!少しでも雨に対する思いが伝わればいいな〜と思います。こちらこそ最後まで読んで頂きありがとうございました! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 9d2314264a (このIDを非表示/違反報告)
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