【おそ松さん】俺らの嫌いな妹は俺らが好きな歌い手だった ２曲目

５８話 ページ11

生放送も終わってコラボするかを決めていると、バタバタと音が聞こえた。何か焦ってるような足音。


『あ、あの！パソコンありがとうございました！』


タイミングが良すぎないか？でも96はさっきからグヘグヘしてるから話にならないか。

時間も時間だったから俺が車で送ることにした。まぁ荷物もあるしボロボロだし？やり始めたことは最後までやる。

財布と鍵あれば良いか。玄関に行くともうAさんはいた。96猫は話が出来そうに無いから留守番。

ここで俺はモヤモヤの意味をやっと理解した。


『打つ手無し。あの時、２人が歌い手だって分かってればなぁ……』


２人、歌い手。少なからず彼女は歌い手の誰かと面識がある。俺らのことかもだけど。


「帰る準備出来ました？」

『は、はい！』


そのビクビクしてる顔の裏には何があるんだろうね？



Aside

車に乗せてもらい数分。ふと思ったことがある。

(天月さんの名前って何だろう……)

という疑問。実際成り行きで家までお邪魔したけど自己紹介を一回もやってない。これじゃ失礼すぎる！


『あの……』

天「はい？もしかして酔っちゃいました？」

『いえ、大丈夫です。もし宜しければお名前聞いても良いでしょうか……』

天「そういや自己紹介しませんでしたね。天月こと、天宮翔太です。あいつ、96猫は黒川奈々」

『ありがとう、ございます』


天月さんと96猫さん、か。私の知ってる歌い手の人と一緒に歌ってたりするのかな。

そう思って調べてみると出てくる出てくる。人気の高さが伺えるほどに。

そして目を引いたのは【まふ月】というワードと【そら96】というワード。どうやらラジオもしてるらしい。すごっ。

他にヒットしたのを見れば、【まふまふ・天月】【そらる・96猫】と出てるから一人なるほど、と納得がいった。


『へぇ……相川さんと天宮さんのラジオか。聞いてみよ』

天「呼んだ？」

『あっ、いえ、大丈夫です』

天「でも今天宮さんって」


いつの間にか車は止まっていた。ドアを開けようとするも見事に鍵がかかっている。どこだ、解除するとこ！


天「俺の知り合いにも相川っているんですよ。そいつもラジオやってて。それも


俺とね？」


ヤバイぞこれは。手だけを動かして解除するとこを見つける。

解除しようとしたら腕掴まれた。解せぬ。天宮さんはそのままどこかに電話をかけた。まさか……


天「もしもし、まふ？」


第六感が言っている。逃げろと。

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