32話 ページ34
とりあえず私は手に持っていたティッシュを置いてドアを思いっきり閉めた。椅子に掛けていたカーディガンを着てまたドアを開ける。
まだ涙ぐみながらも片手にティッシュ箱を持っている相川さんと、その背中を撫でながら私に教えて欲しい、という眼差しを向ける一ノ瀬さん。
私は1つため息をついて、部屋に通した。もう逃れることが出来ないとどこかで諦めたんだと思う。
相「松野、さん」
『はい、何でしょうか』
ケガが目立たないようにカーディガンは着ているものの、ここは防音室なわけで。機材もある。
普通、家にマイクとかあるわけないよね?!よっぽどのカラオケバカだよね?!
相「松野さんは、歌い手の、クリアですか?」
『……いつ、私がクリアだって分かったんですか?そこまで有名では無い、むしろ初心者っていう言葉が正しいのに』
実際に私はまだ1ヶ月そこらしか経って無い。曲だってシャルルとリスナーさんが録音していたクライヤぐらいしかUPしてない。
フォロワーだって昨日確認したら500になっててビビるくらいなのだ。
相「一ノ瀬さん、言っても、良いですか?」
一「駄目って言っても無駄だろ?俺はお前の意見に賛成する」
何のことか分からない。相川さんは鼻をかんだあとに1回深呼吸して
相「松野さん、僕は前に歌を歌う仕事をしてるって言いましたよね?」
『はい……!?まさか!』
相「僕らも、歌い手です。僕は【まふまふ】、彼方さんは【そらる】という名前で活動してます」
びっくりした。あの時は歌手かなって思ってたから。だって歌手ってかっこいい人が多い。相川さんも一ノ瀬さんもテレビに出ても違和感が無いルックスの持ち主だから、ね?
あ、ちょっと待って?私はいつも通りスマホを手に取る。そしていつも通り調べてみた。そしてまたびっくり。
『2人とも凄い、フォロワーの人数ヤバイし、曲も高評価たくさんだ!』
相「僕らのこと、知らなかったんですね」
一「そういや坂田も似たようなこと言ってたな」
そういえば坂田さんも歌のグループを……ってことは?!
『まさか隣の家の坂田さんとお知り合いで?』
一「まぁ、歌い手仲間だし」
私の周りって歌い手さん多い。何人かは調べたから分かるよ?もちろん浦島坂田船も。でもさ、私の前にいる2人と仲良しってのは予想出来ない。
一「じゃあ次は俺。腕、なんであんなに酷いケガを?見た限り、病院には行ってないんじゃない?」
うっ……!一ノ瀬さん、鋭い。
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ゆき(プロフ) - 続きがとても気になるので,友達申請させていただきました!だ (2019年5月7日 19時) (レス) id: 741d7c394d (このIDを非表示/違反報告)
ムギ(プロフ) - 続きが気になるので、友達申請させて頂きました! (2019年5月1日 4時) (レス) id: 40229cd54e (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - この小説面白〜いです!友達申請させてもらってもいいですか(^^) (2019年4月8日 12時) (レス) id: 7e2f4c64ce (このIDを非表示/違反報告)
七香(プロフ) - 続きが気になるので友達申請させていただきます! (2019年4月1日 13時) (レス) id: 35bfb76efc (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - すごく続きが気になります!なので友達申請させて頂きました! (2019年3月19日 23時) (レス) id: b0e1119457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三鈴 | 作成日時:2017年8月25日 18時