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31話 ページ33

俺は何の歌を歌っているのか気になってドアを少し開けた。歌詞だけでも分かればと思ったから。


相「どっかで聴いたことのあるような……」


と言って、まふはズボンのポケットからスマホを取り出した。それを見てから部屋に視線を戻す。そこには俺の想像を遥かに超えていた光景があった。


『あっつ……。これ、治らないかな?』


そう言う松野さんはカーディガンを脱いでワンピース姿になっていた。その腕には正常とは言えない色をした腕。


相「ひっ……」

一「静かに」


バレなかったようで、また歌声が聞こえた。その時、肩を叩かれた。見るとまふのスマホ。そこには動画があった。


相「まだ新人の歌い手なんですけど、そっくりなんですよ。URL送りますね」


それを見届け、2人でまた歌声に集中した。


『〜〜生ーーたーーばかりーーで、簡単にーーーかりーう〜〜』

『幸ーー!ーーも!ー情も!友ーも!ーーなーのーれで、ー部ーーでーえるー物……』

『ーしてーーーてーってーえて、ーきて、生きて、ーーー、ーーー、ーーー!!』


圧巻。その一言に尽きる。それこそ過去を受け入れているような、そして俺らに何かを伝えようとしているような、そんな歌声だった。

部屋に戻ろうとして、まふを見ると涙を流していた。


相「こんな、こんな歌、初めて聴いて」


背中を撫でていると、ドアから漏れていた光が何かに遮られた。少し上は丸い。人の形をしている。

あー……詰んだ。


Aside


歌えば歌うほど、共感するのは私だけなのかもしれない。

昔、と言ってもまだ最近だけど私は自分が嫌だった。私に向けられる感情もだけど、反抗しようとしない自分が。妹に産まれなければ良かったのか思ってしまう自分が。

何一つ、自分から何かしようとしなかった。時間に流され続けて、気付けば過去ばっかり見て未来なんて見ようともしないで。

このケガがそれを物語っている。まさに象徴。


『治らないかな?……良いや、これが私だもん』


そう結論付けてまた歌った。そしてそれが一番の出来だった。これならあまりMIXしなくても良いかな。

ヘッドホンを外すと鼻水をすする音が聞こえた。気配と音には敏感になっている私はそこら辺にあったティッシュ箱と孫の手を構えて近づく。

ドアから顔を出すと、なんとびっくり。相川さんと一ノ瀬さん。相川さんは泣いている。泣かせた!?


相「腕が……」


私は忘れていた。カーディガンを脱いだことを。

……詰んだよ、これ。

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ゆき(プロフ) - 続きがとても気になるので,友達申請させていただきました!だ (2019年5月7日 19時) (レス) id: 741d7c394d (このIDを非表示/違反報告)
ムギ(プロフ) - 続きが気になるので、友達申請させて頂きました! (2019年5月1日 4時) (レス) id: 40229cd54e (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - この小説面白〜いです!友達申請させてもらってもいいですか(^^) (2019年4月8日 12時) (レス) id: 7e2f4c64ce (このIDを非表示/違反報告)
七香(プロフ) - 続きが気になるので友達申請させていただきます! (2019年4月1日 13時) (レス) id: 35bfb76efc (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - すごく続きが気になります!なので友達申請させて頂きました! (2019年3月19日 23時) (レス) id: b0e1119457 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三鈴 | 作成日時:2017年8月25日 18時

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