天使？悪魔？知りません！帰らせて下さい！【d!】

29話 ページ33

?「A」

軽く部屋の中で体を動かしていると、扉が開いて部屋の主…が帰ってきた。

「あ、ありがとうございました。助けて頂いたみたいで……」
?「…礼はいらん。俺が勝手にやった事や。」

いや、違う。大先生じゃない。
姿形は大先生だけど、彼はこんな話し方ではなかったはずだ。
確実なわけじゃないけど、もっと優しく諭すような声色だった筈

?「やっぱ、地獄はアカンな。無事だったから良かったものの、Aを危険な目に合わせるなんて」
?「なぁ、そう思うやろ？」

そう話し掛けながら、私の手を取る。
恐怖で顔が引き攣ってる気がするのだが、そんな事は目の前の人は気にしない。
そのまま、抱き上げられ、金色の3対の翼が広げられる。
大先生は、翼を見せてなかったから、やっぱりこの人は、別人なんだ。

?「アイツらよりも、元の下界よりも、俺を、俺らを選んで」

そう呟くと、窓を開け地獄の空へと舞い上がった。






ut「ただいまぁ」
syp「……？さっき帰って来たや無いですか」
ut「え？今帰ったばっかやで？！」

その叫びを聞いて、続々と悪魔達がやって来た。
しおれたスーツを着た悪魔が、「ショッピくんがおかしな事言うんや」と、事の発端を説明すると、悪魔達は驚いた。

kn「って事は、アイツは誰やったん？」
rbr「大先生、A見つけて帰ってきたんちゃうん……？」
ci「それよりも、Aは無事なん！？」
ut「俺置いて話し進めんでや…？」

あれこれ騒いでいると、悪魔の王である金髪の悪魔がやっぱりかと呟きながらやって来た。

gr「安心しろ、鬱の部屋はもぬけの殻だった。やる事やったから帰ったんだろ」
rbr「いや、どこに安心する要素あったん？」
gr「命は無事だという話だ。殺される心配は無い。」
zm「…何でや」
gr「部屋に落ちてたんだ」

手に持っているのは、金色の羽根。それを見て、全員妙に納得したようだった。

kn「あぁ、天使か」
gr「俺も変だと思ったんだ。大先生が傷跡とか事細かに覚えてるはずがない。それに、人間に会って帰ってくるまでが早かったからな」
ut「なんか素直に喜べんのやけど……？」
gr「誰がやったかなんて特定できんけどな」

取り敢えず、聞いて来るか…と悪魔の王は重い腰を上げた。

gr「…今回の事は、ほぼこっちが悪いって言われると思うから、期待すんなよ」


さぁ、誰が連れ去ったのでしょう…？

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