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「お待たせ、波音チャン。」




あれからしばらくしてバーに着いた蘭は、おしぼりで目元を抑える波音の隣に座るとその頭を撫でた。




「…蘭さん…」



「ん。何があったのか教えてくれる??」




優しくそう尋ねた蘭に波音は口を開く。




「今日はお店が臨時休店になって、
 Aと一緒にここに飲みに来たんです。


 そしたらいきなりあの人が来てっ…」



また涙が浮かんで来て言葉に詰まってしまった波音の背を擦りながら、マスターに続きを話すよう視線を向けた。




「歳の頃は40を過ぎたくらいだと思われます。
 男性の方でした。


 Aさんとは旧知のようでしたが、
 あまり良好な関係には見えませんでした。」



「…風貌は??」



「言い方が悪いですが
 末端の方のように見受けられました。」



「ふーん…」




蘭は思案するように目を閉じた。


そんな蘭の腕を掴んだ波音は必死に訴えた。




「Aの叔父さんなんですっ。


 お母さんの弟で、昔に何回か見たくらいだから
 最初は気付かなかったけど間違いないです…!!」



「オジさんねぇ…」



「Aは母子家庭だったけど、あたしたちが
 まだ中学生の時にいなくなっちゃって…


 それからずっと1人でアパートに
 暮らしてたのが学校で問題になったから…


 児童施設を間に入れて、未成年のうちは
 叔父さんが保護者になったんです。」



「中学生っつーともう10年以上前だよな。


 そんなに会ってなかったオジさんが
 今ごろAチャンに何の用だって??」



「よくわかんなかったけど
 幹部がどうとかって言ってましたっ…


 あの人まだ中学生だったAに美人局やらせ
 たり酷いことばっかりしたのに…またっ…!!」



「…美人局、ねぇ…」



「Aさんの話ではその男性、刑務所に
 入っていたそうです。身代わり出頭だったと。


 出所してすぐ、会いに来たとも言っていました。
 私たちはそこまでしか…


 Aさんが男性を連れて行かれたので…」



「…なるほどね。話はだいたい読めたわ。」




蘭は薄っすらと笑みを浮かべると波音の顔を覗き込んだ。




「あとは蘭チャンに任せろー??
 こっちで少し調べてみっから。


 波音チャンもマスターも顔見られてるから
 自分の身の安全を最優先にな。


 2人に何かあったら、Aチャン
 消えちまうかもしんねぇから。」



「…はい。」




波音もマスターも頷いた。




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YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(⁠◔⁠‿⁠◔⁠)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時

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