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入ってきた長身の男は細身の体に高そうなスリーピースのスーツを着て、メッシュの入った紫の短い髪を右側に撫で付けるようにセットしていた。
怠そうな雰囲気だが、顔が恐ろしく整っていて立っているだけで絵になるような男だった。
Aは一瞬だけ男に視線を向けるも、特に興味もなさそうにスマホに目を落とした。
男はマスターに二言ほど声を掛けるとAのすぐ後ろを通って奥のテーブル席に座った。
その時、ほんのり鼻についた香りに男はゆみの背中に静かに目を向けた。
マスターはお酒を作るとおしぼりとナッツを皿に盛って、男のテーブルに置いた。
カウンターに戻ったマスターはAと話をしながらクラッシュアイスを作っていた。
男はグラスに口を付けながら、Aを観察するように見ていた。
背中に突き刺さるような視線に苦笑いしたAはお代わりを頼んだ。
スマホのトーク画面を開き竜胆にLINEを送った。
『久しぶりにバーに飲みにきたら
イケメンのお兄さんにガン見されてる!!笑』
そう送ってから、あれ??と思ったAは思い切って振り返るとその男とバッチリ目が合った。
まさか振り返ると思っていなかったのか男は目を瞬かせて、2人はしばし無言で見つめ合った。
「…やっぱり似てる。」
ポツリと呟いたAはカウンターのイスごとクルッと振り向いた。
「…お兄さん、竜胆くんて知ってます??」
「…竜胆のこと知ってんの??俺の弟だけど。」
「やっぱりー!!目元が竜胆くんとそっくり。」
自分の目元を指差してそう言うAは子どものように嬉しそうに笑った。
「わたしAって言うんです。お兄さんは??」
「…蘭だけど??」
蘭は素直に名乗ると立ち上がってAの側に歩み寄った。
Aはイスに座ったまま蘭の顔をしげしげと観察するように見上げた。
「蘭さんは眉毛が下がってるんですねー。
顔も似てるけど女顔って感じの美人さんだ。」
蘭はその言葉にふっと色っぽく笑うとAの右手を取ると首を傾げて聞いた。
「Aチャンは竜胆と俺どっちがタイプー??」
「んー…竜胆くんかな。」
悩む素振りを見せる割には即答したAに思わず蘭は笑い声を上げた。
「あはっ。竜胆に負けたわ。ここ座っていい??」
「どうぞー。」
隣のイスを見て聞いた蘭にAは頷いた。
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YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(◔‿◔)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時