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「…思い返せばそうかもしんねぇな。
A楽しそうに話してたな。
蘭も竜胆も毎度俺に
ちゃんと挨拶してくれてたし。」
聡の言葉に拗ねていた万次郎も
ついにシュンとして膝を抱えた。
「…やっぱり俺のこと嫌でどっか行ったんだ。
俺、Aに捨てられた…」
「病みスイッチが入っちまった…
にしてもAって飲み屋で
働いてたときも何か勉強してたよな。
アイツ何になるつもりなんだろうな。」
堅は首を傾げた。
三ツ谷もさあと首を振った。
「無駄になることやるようなヤツじゃねぇだろ。
頭も良いしな。
俺らは何も心配することねぇよ。
ただアイツを見ていてやればそれでいいんだ。」
場地は今、ここにいない
Aを思い浮かべて笑った。
八重歯が覗くその笑顔は少年の時のままで
みんなどこか肩の力が抜けたようだ。
場地は落ち込む万次郎の隣でその肩を組んだ。
「だからお前も
そんな情けねぇ面してんなよマイキー。
俺らの総長は誰が何と言おうと
カッケェんだから。な??」
「場地…そうだよな。
久しぶりに会えた時にAにガッカリ
されねぇように俺もちゃんとしねぇと。」
万次郎は頷くとジョッキを片手に立ち上がった。
「よし、お前ら今日は目出てぇことばっかりだ!!
とことん飲むぞ!!」
万次郎の掛け声にオォーっと雄叫びが上がり
飲み会は益々盛り上がった。
テーブルの端にいるエマは呆れつつも
嬉しそうに笑ってそれを見ていた。
そしてグループLINEに隆が送った
Aが笑う写真を見つめた。
「Aはホントに愛されてるよね。
あの時から何にも変わってないや。
あーぁ、
ウチもAみたいになりたかったな。」
「エマちゃん??」
「何か思い出すよね。
ケンちゃんに振り向いて欲しくて必死だった頃
Aしか見てなかったんだよねー。
Aのこと羨ましいって思ってたけど
それ以上にウチAが大好きだからさ。」
「私もAちゃん羨ましいなって思ってたよ。
女のコなのに強くて、正しくて…
でもAちゃんはそこに並ぶのに
たくさん努力してたの知ってたから
素直に尊敬してた。もちろん今も!!
だから早く会いたいな…」
「今度はAにウチの惚気
たくさん聞いてもらうんだ。
今幸せだよって。
3人でたくさん話そうね。」
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時