6 ページ7
·
「そうなの!!
別に好きじゃないけどやるなーって思ってたし。
ウチらにも結構優しくしてくれるから
好感度的には悪くないよね。」
「昔はちょっと怖いなと思ってたけど
今となってはカリスマモデルだし
人を惹き付ける何か持ってるんだろうね。
２人そろって綺麗な顔してるし。」
女子２人のべた褒め具合に
男たちはぐうの音も出ずに顔を歪めていた。
「でもマイキーが日本縦断してる２年とか
ぶっちゃけかなり怪しかったよ。
付き合ってたんじゃないかなって思うけど。」
「まあ、よく一緒にいるなとは思ってたけど。」
聡もエマの言葉に
当時を思い出すように目を閉じた。
Aは中学を卒業してから元々好きだった
音楽をするためにピアノやギターの
楽器全般と歌の勉強を独学で始めた。
順調に進むようにと楽器屋でバイトをしながら
店長や常連さんたちにも指導を願って
どんどん腕を上げていった。
最初音楽の道に進んで行くのかと思われた
Aはその質問にはあっさり首を横に振った。
18歳になって飲み屋で働けるからと
チェーン店ではなくわざわざ海鮮系の
強い個人店に雇ってもらい
昼は楽器屋、夜は飲み屋の
二重バイト生活を始めた。
お金が欲しくて働いているならと聡が
話をしても自分のためにやっていることだと
詳しくは話してくれなかった。
当時は何も手伝うことが出来ずに
ただAを見守っていた。
それだけ働いているというのにAは
家のことをしっかりやっていて
聡の頭が下がるばかりだった。
ただとても楽しそうに
キラキラしていたのだけは覚えている。
高校を卒業した万次郎が
バイク１つで日本縦断の旅に出た時も
Aの側には場地や三ツ谷、堅が側にいて
Aを守ってくれていた。
だが思い返すと確かにあの兄弟はAの世話を
よく焼いてくれていたように思う。
特に兄の蘭。
飲み屋のバイトの帰りは必ずと
言っていいほどバイクで迎えに行き
気晴らしにとAを後ろに
乗せたままバイクを走らせたり
モデルの仕事もちらほら始めていたと言うのに
人目を憚らずAの誕生日には
六本木の高級ホテルでお祝いしてくれたり。
２０歳になってお酒を飲めるようになると
行きつけのバーに連れて行ってくれたり。
Aがそれはそれは嬉しそうに
話してくれたのを思い出した。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
