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「その時Aちゃんは圭介くんに話したみたい。
今まであったことと今の気持ち
もう逃げたい。
何で今側にいてくれないの１人にするのって。
圭介くんはその気持ちを受け止めて
逃げたきゃそうしていいから行きたいとこに行け
どこまでだって迎えに行ってやるからって。
Aちゃんハッとしたって言ってた。
でも圭介くんの優しさが嬉しくて
少しだけ逃げることにしたんだって。
そんな時に蘭くんと街中で会って
そのまま2ヶ月蘭くんたちの所にいたみたい。
すっかり落ち着いたAちゃんはまた
圭介くんに連絡して迎えられて帰ってきた。
蘭くんや竜胆くん、圭介くんのおかげで
聡くんにも知られる事態は避けられたの。」
「…Aちゃんの大事にしたい人って…」
「それは本人の口から聞かないとわかんない。
でもあの時のAちゃんには
蘭くんと竜胆くんが支えだったのは確か。
もちろん圭介くんも。
でもAちゃんの1番は多分ずっと…
想いの形が途中で変わったのかもしれないね。」
香菜は言葉を切って笑った。
「今Aちゃんは、
灰谷兄弟と一緒みたいです。」
「よかった…
またあの2人が側にいてくれて。
万次郎くんは昔から
Aちゃんと一緒にいたけど
Aちゃんを最初に見つけてくれるのは
いつも圭介くんだった。
傷付いたAちゃんの側にいてくれるのは
蘭くんと竜胆くんだった。
だから帰ってきたら教えてもらうの。
Aちゃんの大切な人は誰??って。
楽しみだな。
きっともうすぐ帰って来てくれるね。」
香菜が笑うと武道は強く頷いた。
すると聡が風呂上がりの濡れた髪のまま
水を持って香菜の隣に座った。
「お待たせ。んでどうした??武道。」
「聡さん、今日のAちゃんのこと
聞いてどう思いました??」
「…正直情けねぇよな。
俺ずっとAと一緒にいたのに
アイツのこと何もわかってなかったんだな。
ガキの頃2人だけの家族になった時から
いつだって俺の味方でいて
俺のことちゃんと見ててくれたのにな…」
聡ははぁっと息を吐いて項垂れた。
「結局、俺は何も理解してねぇくせに
アイツの兄貴ヅラして
ずっと情けなく守んなきゃなんねぇ妹に
縋ってただけだったわ…」
「聡さん…」
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
