SWEET HURT【灰谷蘭】 (ページ14)

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2017年。

武道はタイムリープを繰り返していた
頃のことを思い出していた。

最初の現代でAは場地とともに
血のハロウィンで死んでいた。

だからどうか自分で死ぬようなことは
しないで欲しいとお願いした時

『圭介がいないなんて
　どうしたらいいかわかんないな』と

Aは困ったように笑った。

天竺との抗争の前にエマを庇って重症を負った。

ボロボロで抗争に現れたと思えば

『これ以上万次郎の大切な人は誰も失くせない』と

包帯だらけの顔でAは笑った。

東京卍會の解散の時も

『大人になってもみんな幸せだったらいいなー』と

気の抜けた顔で笑っていた。

武道の中のAはいつだって笑っていたのだ。

だから今回の雲隠れにも
きっと何か理由があると思い
武道は聡と2人で話すことに決めた。

飲み会もみんな出来上がってきて
二次会参加組と帰宅組で別れた。

日向を家に送り、帰り道さながら
武道は聡に電話を掛けた。

二つ返事で家変わってねぇから来いよと言われ
何度か行ったアパートに向かった。

武道のスマホがエマからの着信を知らせた。

「エマちゃん、どうしたの??」

『タケミっち聡くんと話すんでしょ??』

「え…何で??」

『真兄だったらきっとそうすると思って。

　聡くんの家にさっき言ってた香菜さんも
　いるから話してみたらいいよ。

　多分なんだけど、聡くんも
　知らないこと知ってると思う。』

「そうなの…??」

『Aは香菜さんのこと大好きなの。
　ホントのお姉ちゃんだと思ってる。

　ウチの予想だけどAはいなくなる前に
　香菜さんにはきっと何か話してると思う。

　マイキーが日本縦断するって消えた前の夜
　A家に来てたんだ。
　起きたらもういなかったけど…

　その少し後にAも２ヶ月くらい
　ウチらの前からいなくなってるの。

　今みたいに長い期間じゃないから
　みんなの頭から抜けてる。

　きっとあのときAには何かあった。
　香菜さんはそれを知ってると思う。』

「エマちゃんは…」

『ウチがこれを直接聞くのは
　マイキーを責めることになると思うんだ。

　だからウチは聞けない。
　タケミっちに任せるから。』

「…うん、わかった。
　ありがとう、エマちゃん。

　何かわかったらすぐ連絡するから。」

『待ってるね。』

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