転生したはいいが、ガキ共からの逆ハーは望んでない【警察学校組】 (ページ8)

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景光からの電話があった翌日の、暖かな日差しの差し込む週の終わり。

土曜保育なるものには特に通っていない私は、今日もまた元気よく我が家に突撃してきた陣平達に引き摺られ、研二の親父さんが経営する車の工場を訪れていた。

その隣では、整備中のポルシェを如何にしてガルウィングに改造してやろうかと目論む陣平の姿と、親父さんの整備道具をどこからか引っ張り出してくる研二の姿。

頼むから怒られる時はお前らだけにしてくれ。

私は一切の監督責任を負わない。

「……オマエらほどほどにしとけよー？」

「わかった！！」

「ぜってーわかってない」

返事だけは一丁前な陣平を横目に、おじさんが戻ってくる前に退散しておこう、と一人工場を抜け出す。

向かった先は近所の公園。

ここならゆっくり出来るかと思ったのだが、神というのは存外性格が悪いようで。

足元の道がアスファルトから茶色い砂に変わると同時に、私の耳に届く言い争うような声。

ゆったりと顔を上げた先では、見知った金色の髪が風に揺らめいていた。

「＿＿＿“れい”、なにしてんだ？」

「っ、A……」

そこに居た人物の名前を淡々と読み上げれば、相手に掴みかかっていた彼はきまりが悪そうに視線を落とす。

零と掴み合っていたガキもまた、私が一月前にボコした相手なようで、目が合うなりさっさと逃げていった。

これだから弱いものイジメしか出来ないガキは嫌だね。

情けない背中に中指を立てながら、口にはせずにそんなことを思う。

「……A、ごめん……オレ、またケンカしちゃって……」

キュッ、と服の裾を掴んできた零が、萎れた声でそう言う。

以前私が言った「滅多な時以外は喧嘩するな」という約束を気にしているのだろう。

「ちゃんとじぶんでわかってんならいいよ。それより、ケガは？」

「ないよ。Aがきてくれたから」

そう言ってふにゃりと笑う顔は、ついこの間までは到底見られなかった笑顔で。

意外だ、なんて思いながら私は「へぇ」と声を漏らした。

＿＿＿彼の名前は降谷零。

持ち前の日本人離れした容姿故に、よく揶揄われて喧嘩をするヤンチャ坊主だ。

とはいえ彼もまだ園児。

一月ほど前はさっきの奴に一方的に殴られていて、あまりにも彼が不憫で助けてやったら、なんか懐かれてしまった。

何故私はこうもガキ共に好かれるのか。

恐らく一生の議題だろう。

＿＿＿そしてここまでが、私の第二の日常であった。

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