鬼札【鬼滅の刃】

参拾壱 ページ35

貴「これに懲りたら勝負を挑むなよ。妾に挑むなぞ愚かなことよ。」


嘴平「強えぇぇ！俺が強くなったら負かして見せる！」


貴「妾の話を聞いていたのかのう・・・？」


胡蝶「先ほどからこの調子ですから仕方ありませんよ・・・。」


竈門「なんか、ごめんなさい。」


貴「ところで竈門君。妹君を人に戻す方法は見つかったかい？」


竈門「はい、珠世さんから十二鬼月の血液を採取してほしいと言われたのですが・・・。」


貴「何かあったのかえ？」


竈門「“上弦の零”の血液が十二鬼月の血液の中で最も鬼舞辻の血が濃いと言われたのです。」


胡蝶「“上弦の零”？聞いたことがないわね。まず存在するのですか？」


貴「・・・その“上弦の零”とやらの情報を何か知っているかえ、竈門君？」


竈門「恐らく鬼舞辻無惨よりも完全な存在だと・・・。でも、何百年も前に名が消えたと・・・。」


貴「この世には完全なる存在など無いのにのう。恐らくその者は苦しんだろう。


完全な者は生きるのがつらくなると聞いたことがあるのでのう。」


竈門「あの、Aさんも身内が鬼に殺されて鬼殺隊に入ったのですか？」


貴「いや。ただ人が運命に抗う姿を見たいだけじゃ。


人は最期命を散らすのに今この時を必死に生きておる。


その姿が美しいから見たいだけじゃ。」

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