検索窓
今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:182,833 hit

王道。 _wtnb ページ8

〔苗字設定推薦〕






出会ったのは、ベタな展開だった。



彼が物を落として、私が拾って、



彼の手と私の手が重なって、



なんて、そんな、王道な。





「わわっごめんなさいごめんなさい!」


『わ、大丈夫ですかっ?』


「ありがとうございます…」




彼は優しい、それ故、


それじゃ終わりたくなかったのだろう、





「お礼させてください。。」






そう、やさしかったのだ。



今思えば、



それはただの優しさに過ぎなかった。





『…えっ!?』



物を拾ったくらいで、お礼なんて大袈裟な。


そんなことしか頭に浮かばなかった。



「本当は今すぐお礼したいんですけど、生憎すぐ予定があって…

なのでこれ、俺の連絡先ですっ」



半ば強引に渡されたそれを受け取ると、満足気に微笑んで走り去っていった。




『れんらく、さき…』




まるで嵐のように過ぎ去っていった出来事に、私はその場に立ち尽くした。








私たちは何もかも王道だった。



出会いも、それからのことも、何もかも、



そう、王道だった。






そして、私はあの日気付いた。




「Aのおかげで、上手くいきそうだよ!!」




渡辺さんから恋愛相談を持ち掛けられた時に気付いてしまったのだ。







そうか、私は、




あの子と逢うために出会った、いわゆる、







"架け橋みたいな存在"







なんだ、と。







私は、ヒロインなんてなれないんだ。





そう、悟った。







せっかく気づけたのに、この関係を終わらせる勇気なんて私にはなくて、




相談役でいいから、近くに居たい、




そう、思ってしまった。





「そうだ、Aは好きな人とかいないの?」




へ?と気の抜けた返事をしてしまった。



「俺ばっかり相談乗ってもらって、悪いし。」



『そ、そう?
まぁ、いるよ。』



叶いそうもないけれど、と付け足しておく。

上手く行くよなんて、そんな言葉は聞きたくなかったから。



 

…→←…



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (118 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
297人がお気に入り
設定タグ:短編集 , QuizKnock , 悲恋   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

フェレット(プロフ) - いろさん» してみたされてみたシリーズのkwkmさん良かったです、私も優しくしていろさんを泣かせたいと思います() (2020年1月19日 18時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 皆様が優しすぎて泣きそう (2020年1月19日 18時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - いろさん» いろさまさまです!気長に待ってますね! (2020年1月19日 18時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
フェレット(プロフ) - いろさん» 凄く良かったですよ!またリクエストさせていただきます。 (2020年1月19日 18時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - まつりかさん» ありがとうございます…が私のペースになってしまいますが必ず全て書きますのでお待ちください…! (2020年1月19日 18時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いろ | 作成日時:2020年1月11日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。