Agapanthus (ページ8)

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……？ページ8

･A

ヌナと話してたら扉がノックされる音が聞こえた。

スタッフさんかな、と立ち上がって扉を開けるヌナ。

扉の向こうには……

｢……え、？｣

なんで、

なんであなた達が……？

もう会わないと思ってた。

だって、あの日初めて僕から話しかけた日以来見なかったから。

JN｢初めまして(･････)、Aさん。｣

違う、さすがに覚えてるよ。

僕らは初めて会ったんじゃない。

何度も何度も僕に視線を投げて、話しかけてきた。

マネヌナ、

mn｢……。｣

ぼーっとして見つめるのは、1人の男の人。

もしかしてこの人がSUGA……って、完全に僕のことなんか気にしてないじゃんヌナ！

どうしよう、言わないと。

この人たち、僕のことめちゃくちゃ見てくるストーカーって。

｢……、｣

誰が信じる……？

そんな馬鹿な話、誰が信じるんだ。

そもそも芸能人のくせにBTSを知らないなんて通じないかもしれない。

mn｢──────、A？｣

｢……！な、なに、｣

ぼーっとしてた。

mn｢……BTSさんたち、出ていっちゃったけど。｣

あ……

｢ごめんなさい。｣

mn｢Aも珍しく緊張とかするんだね。固まって動けてなかったよ。｣

それは考え事をしてただけで……

そうか、緊張して固まったと思われてたのか。

mn｢まあ彼らはオーラがすごいからねぇ。Aも負けてないけど！！はぁ、生ユンギ最高だった……｣

それから僕はマネヌナの運転する車に乗ってマンションの地下駐車場まで送ってもらった。

じゃあねって言って帰っていくヌナを引き留めようとしたけどやめた。

ヌナはBTSが好きで、僕のストーカーかもしれないって疑惑なんか向けたら可哀想だから。

マンションのエレベーターに乗り込む。

夜の十時、外は暗い。

自分の部屋の前まで着いた。

大丈夫、今日は来てない。

さすがに来ないか、と思ってキーカードをタッチしたその時だった。

｢───っ！！｣

口元を何かで覆われた。

多分ハンカチ。

どれだけもがいても力が強くて声も出せない上にギリギリと掴まれる腕が痛い。

どうにか頑張って振り返る前に……

僕は意識を手放した。