Agapanthus (ページ25)

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･A

市内のカフェ。

試写会が終わって連れてきてもらったんだけどずっと見てくる。

最近僕のこと、凝視する人が多くないか。

目の前の席でコーヒーを飲みながらずっとにこにこしてる。

sj｢Aさぁ……｣

｢はい。｣

sj｢雰囲気変わったね。｣

え？

sj｢大人になったね。｣

｢そうですか？｣

sj｢もう高校生だもんな。｣

ソジュニヒョンとは昔から共演が多かった。

僕が勉強期間で休む以前も何度か共演したから叔父さんみたいなもの。

別に仲良くなんてないけどさ！

sj｢彼女できたんじゃないかなって、心配になったんだけど。｣

｢どうしてソジュンさんが心配するんですか。｣

sj｢大切な可愛い可愛い甥っ子だもん。｣

｢甥になったつもりないです、｣

sj｢いつもバラエティで可愛い甥っ子みたいな存在ですって言ってるよ俺。Aもそろそろ俺の事テレビで言ってくれてもいいんじゃない？｣

僕の頬に手を伸ばして撫でてくる。

抵抗しないでいると頭もわしゃわしゃ撫でられた。

sj｢今日の映画館にいた観客のみんなも、Aがかっこよくて可愛いから黄色い声上げてたし……｣

｢ソジュンさんに、でしょ。｣

sj｢それはAが俺をかっこいいと思ってるって受け取っていい？｣

｢……勝手にしてください。｣

猫を撫でるみたいに顎を触られる。

僕はペットじゃないぞ。

sj｢昔みたいにソジュニヒョンって甘えてくれてもいいけど、これはこれでいいなあ。｣

｢変態。｣

sj｢ふふ、｣

やっと僕を触るのをやめてまたコーヒーを飲む。

ちらりと腕時計を確認して立ち上がった。

sj｢そろそろ行こうか。｣

会計もぱぱっと済ませてくれた。

奢ってくれるって言ってたもんね。

マネヌナが近くの駐車場で待ってるらしいからそこへ向かおうとすると引き止められた。

sj｢ねえ、A。最近ほんとになんにもない？｣

｢……なんにもないです。｣

言えるわけない。

どうして勘づかれるんだろう。

sj｢何かあったらすぐに言うんだよ。｣

｢はい。｣

sj｢不安なんだけど。｣

どうしてそんなに僕に構うの。

sj｢Aのとこ大事なんだから。この業界は一度精神がやられたら立ち直るのに時間がかかる。責任も、もう重いものを背負ってる自覚はあるか？｣

｢…あります。｣

ずっと、小さい頃からそんな自覚はある。

sj｢絶対に相談すること。いいか？｣

｢……はい。｣

この日僕は、初めてソジュニヒョンに嘘をついた。