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しばらくして、どれくらい時間が経ったのかはイマイチ分からないけれど、カチャンと小さな音がして裏口が開いた。
洗い物をしていた手は止めず、意識だけはそちらに向ける。
亮「だいじょーぶだよ、なか、あったかいよ」
一生懸命なりょうへいの声に、なかなか苦戦しているのだと悟る。気になりつつもジッとその場に留まっていれば、やがて扉が閉まるのが分かった。
……入ってこれたのかな？
「っ、りょーた！」
亮「Aちゃ、Aちゃん！」
『えっ、何⁉』
「にんげんっ…くるな！ ぁ、いやっ、あの…ごめん…なさい…っ、」
蹲っちゃったもう1人の子を守るようにキッとこちらを威嚇した子は、すぐにハッとしてオロオロと狼狽る。
周囲の全てに怯えて警戒している様子に胸がキュッと痛んだ。
同時に、助けてあげたい。でもどうしてあげればいいのか。そんな葛藤が頭をグルグルと巡った。
『大丈夫、何もしないよ？』
「みんなっ…さいしょはそーいうのっ…！」
「…しょーた、…だめ、」
「りょーたはじっとしててっ…！」
涙目で威嚇してくる子の身体はとても華奢で、その腕を引いて後退るもう1人の子は右脚を引きずっているように見える。
……と、そこに元気いっぱいに抱きついてきた、
大「Aちゃぁーん！」
『うお、何よだいすけ』
大「んー？んふふ、あのね、…あの、…こっぷわっちゃった、」
『えっ⁉』
「……！！」
「っ、」
視界の端で、だいすけの言葉と私の咄嗟の反応に肩を震わしている姿が見えたけど、今はそれどころじゃない。
『怪我は？大丈夫？痛いところない？』
大「だいじょーぶ、」
『良かった…。お片付けしようね』
大「うん…、ごめんなさい…」
『いいのいいの。教えてくれてありがとうね』
この場をりょうへいに任せてお店の方に顔を出せば、カウンターのすぐそばに、割れたガラスとお水が散らばっていて。しゃがみ込んだたつやがそーっとガラスに手を伸ばしていた。
『たつや、代わるよ』
辰「ん？たつもやるの」
『だーめ。危ないでしょ？私の代わりに、だいすけと一緒にお客様に「お騒がせしました」って言って回ってもらってもいい？』
辰「はぁーい」
泣き出しそうなだいすけの手を取ってホールを回り始めたたつやを見送って視線をガラスに戻す最中、ふと視界に入った厨房への通用口からは、こちらの様子を伺うあの2人の姿が見えていた。
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まりも(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています。リクエストなんですが、翔太くんと涼太くんがお店に来る前の家でのお話が見たいです！これからも更新頑張ってください！ (2020年10月10日 15時) (
レス) id: 2607901ad6 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！更新、楽しみにしています！！ (2020年9月29日 23時) (レス) id: 2467065cee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おれんじ
| 作成日時：2020年9月18日 15時
