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泣く ページ7

「Aー!起きなさい、朝よー!」

一階から聞こえるお母さんの声で、目を覚ます。

私、あの後寝ちゃったんだ。
泣きすぎて、目が痛い。
鏡で自分の顔を見てみたら、あきらかに泣きました、というように、真っ赤に腫れていた。

「お母さん、おはよう」
「おはよう……って、どうしたのその目!」

一階に降りてお母さんに話しかけたら、お母さんが私の顔を見て、驚いた。

「けんかしちゃった……」
「え?」
「新一に、ひどいこと言っちゃった……」
「A……」

言葉にしたら、ふええって涙が溢れてきた。
お母さんが慌てて駆け寄ってきて、私を抱き寄せる。

「あんなこと、思ってないのに……」
「うん」
「新一のこと、大好きなのに……」
「……うん」
「傷つけちゃった……」
「……」

お母さんが、私の頭を、ゆっくりと撫でた。

口から出る嗚咽を抑えようともしないで、わんわん泣き続ける。

私の泣き声に起きてきた弟が、私の背中をポンポンと優しく叩いて、だんだん涙が止まっていく。

「……落ち着いた?」
「……ん」
「Aがこんなに泣くまでの喧嘩なんて、珍しいわね」
「私が悪いの……」
「大丈夫よ」
「謝らなくちゃ……」
「そうね」

お母さんと弟にあやされて、気持ちが少し晴れた。

服の袖で涙を拭ろうとしたら、その手をお母さんに掴まれて、顔を洗ってきなさい、と言われた。

顔を洗ってリビングに戻って、目を冷やしながら朝食を食べて、学校に行く準備をする。

「いってきます」
「行ってらっしゃい」
「姉ちゃん、がんばって!」

弟のエールに励まされる。

なんとなく新一と顔を合わせづらくて、新一が家に来る時間よりも早く、家を出た。

教室に入ったら、まだ3人くらいしかいなくて、ちょっと新鮮だった。

「Aちゃんおはよー!」
「美月ちゃん、おはよう」

入学したときから友達の、美月ちゃん。
優しくって面白くって、大好き。

「わ!目どうしたの!」
「泣いちゃって……」
「泣いたの?どうして?」
「新一と、けんかして……」
「そうなんだ……」

ぽろっと、目から涙が落ちた。

ああ、やだ。
もう泣きたくないのに。

「泣かないでAちゃん!」
「ううぅ……」
「だ、大丈夫だよ!」

美月ちゃんが、ぎゅーっと私を抱きしめた。
私、泣いてばっかり。
迷惑かけちゃう。

私が泣いてるのに気づいて、教室にいた二人も寄ってくる。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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