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強くなったね ページ40

大山さんがふん、と鼻を鳴らした。

「成宮さんなんて、新一くんに嫌われちゃえばいいんだ!」
「もうすでに嫌われてる大山さんに言われても、何とも思わない!」
「うざ!」
「どっちが!」
「これ以上話してても時間の無駄!行こう!」

二人は怒りながら階段を降りていった。
1人になったあとで、ようやく冷静になった。

私、こんなに性格悪かったんだ。
自分にビックリ。
私って本当にいい子ちゃん演じてたんだなぁ。
ちょっとショック。

下駄箱のところで二人と鉢合わせするのが嫌で、5分くらいしてから、私も階段を降りたら、私のクラスの下駄箱に、人影が見えた。

「あ」
「……あれ?遥樹くん?どうしたの?」
「どうしたのって、Aちゃん、大山さんと高橋さんに呼び出されてたから、大丈夫かなって思って」
「……心配して待っててくれたの?」
「うん、まぁ」

遥樹くんが、照れくさそうに頬をかいた。

「……ありがとう」
「ん、だいじょぶそうで、安心した」
「うん、ちょっと言い合いになっちゃったけど、大丈夫だよ」
「言い合い?」
「カッとなって、つい色々言っちゃった」
「そっか……Aちゃん、強くなったね」
「そう?」
「うん。前のAちゃんなら、きっと泣いてた」
「泣いて……」

前の私っていうのは、きっと、去年の夏頃の私。弱くて弱くて、強くなりたい、って泣いてた私。

「私、強く見える?」
「うん、見える」
「そっか」
「どうして、強くなったの?」
「……強くありたい、って思ってるからかな」
「強くありたい?」
「うん。私ね、いっつも新一の隣にいて、何かある度に新一の陰に隠れて、ずっと守られてたの」
「守られてた……」
「そう。だから弱いまま成長しちゃって、泣き虫になって、一人じゃ何もできなくなっちゃって」
「……」
「でもね、気づいたの。新一だって、いつまでも私のそばにいるわけじゃない。新一がいなくなったら、弱い私はどうやって生きていくの?」
「……うん」
「きっとね、私は新一がいなきゃ生きていけない。だから、誰かに頼らなくても生きていけるように、強くなるって決めたの」
「だからAちゃんは、泣かなくなったの?」
「え?」
「最近、泣いてないよね?」
「……なんでわかったの?」
「……なんとなく」

私が思う以上に、遥樹くんは、私を見てる。
待っててくれたこともそうだし、遥樹くんて、すっごい優しいんだ。

ただ隠してるだけ→←いい子



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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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