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スフレドリア ページ30

「なあ?この本は?」
「ジュール・ヴェルヌ」
「へー、借りていいか?」
「私それ買ったばっかで、まだ読んでないんだけど」
「ダメか?」
「……いいよ、そのかわり、江戸川乱歩貸して」
「わかった、明日持ってく」

恒例化しつつある、本の貸し借り。
新一はミステリー小説が好きみたいだけど、私は最近SFとか恋愛にハマってて、新一にとってそのジャンルが新鮮みたい。

謎解きじゃないけど、面白いのかしら。
新一が純愛小説を読んでる姿を想像して、ちょっと笑う。

「なんだよ」
「新一、恋の話読んでておもしろい?」
「まあ……それなりに……」
「へぇー。似合わないなぁ」
「うるせー」

新一が拗ねたみたいに笑った。
「俺が恋愛読むのは変なのかよ」
「変じゃないよ。だけど、ホームズオタクなのになぁ、って」
「お前だってそうだろ」
「新一ほどじゃないよ」
「あっそ」

不貞腐れた新一を見てたら、ご飯よー!というお母さんの声が聞こえてきた。

「え!もうそんな時間!」
「ホントだ、もう7時」
「はやー!」
「あっという間だったな」
「新一ご飯食べてく?」
「あー……」
「今日のご飯はね、スフレドリアだと思う」
「Aのお母さんのドリア美味いんだよな……」
「どうする?多分新一の分も作ってあるよ」
「マジ?」
「多分。今日有希子さんも優作さんもいないんでしょ?」
「おう」
「なら食べていきなよ」
「……じゃあ遠慮なく」
「うん!」

はやくきてー!というお母さんの声。
今行く!と返事をして、新一と一階のリビングに行った。

「お母さーん!新一も食べるって!」
「だろうと思って、用意してあるわよ」
お母さんがバチッとウインクした。
うわわ。ちょっと引く。

「おっしゃ!」
新一がガッツポーズ。
かわいい。

瑞紀の前に新一が座って、右隣に私が座る。
「いただきまーす」
手をきっちり合わせて新一が言った。
お行儀いい。

お母さんが聞く。
「どう?」
「うまい!」
「うふ!よかった!」
うふって。
お母さん、うふってなに。

新一がもぐもぐしながら言う。
「これ、Aも作れるようになんの?」
「修業させるわよ!」
「花嫁修業?」
「そう!」
「え!」
「結婚できるといいな、A」
「……」
「あら?新一くんもらってくれないの?」
「ちょっとお母さん!」
「でもA、好きなやついんだろ?」
「え?新一くんじゃないの?」
「同じクラスの、」
「新一!」
「でもAの口から、新一くん以外の男の子の名前出たことないわよ」

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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