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保育園 ページ2

保育園に入った。

変わらず私と新一は一緒にいて、片時も離れなかった。

「おまえら、いつもいっしょだよな!」
「けっこんしてんのか?」
「けっこんー!」

なんて、冷やかされたりもした。
だけど私は、新一のお嫁さんになるって思ってたし、新一も上手い具合に対応してて、全く気にならなかった。

保育園の先生からも、二人は仲良しだね、ってセット扱いされてた。

そんな関係が崩れ始めたのは、あの子と出会ってから。

「Aちゃんっていうの?」
「うん」
「わたしはね、蘭っていうの!」
「らんちゃん!」

砂場で話しかけてきた女の子。
毛利蘭。
私と蘭ちゃんはすぐに仲良くなって、新一がいないとき、よく遊んでた。

私は彼女が新一と同じくらい好きだったし、女の子の中で一番の友達だと思ってた。

ある日、新一が私に言った。

「A、あの子のこと、見ててやれ」
「あの子?蘭ちゃん?」
「ああ」
「どうして?」
「江舟先生、あの子を見る目がおかしいんだ」
「先生の目が?」
「そう。アイツ、ときどき怖い目をしてるし」
「こわいめ……」
「おまえも、気をつけろよ」
「うん……」

新一に言われたとおり、江舟先生をじーっと見てると、確かに蘭ちゃんを優先するところがあったり、執着してるように見えた。

私なりに蘭ちゃんを守ろうとして、なるべく一緒に行動するようにした。


私が風邪で保育園を休んだ、雨の日。
お母さんが、私に言った。

「蘭ちゃん、誘拐されそうになったみたいなの」
「ゆうかい?」
「そう。犯人は江舟先生の奥さんの、弟さんらしいわ」
「え……」

どうして私にそんなことを言ったのかはわからないけど、それなりにショックだった。
わたしは、蘭ちゃんを守ることができなかった。

落ち込んでたら、それを怖がってると勘違いしたのか、お母さんが私の頭を撫でた。

「大丈夫よ、新一くんがしっかりこらしめたから」
「新一くんが?」
「そう」

よかった、と安心する反面、心のどこかに、モヤモヤした気持ちが広がった。
それがなんなのかわからなくて、知らないフリをした。

夜、新一がお見舞いに来た。

「Aー、熱大丈夫かー?」
「もうへいきだよ、新一くん!」
「よかった!じゃあ、明日から保育園来れるか?」
「うん!」

パアッと明るい表情になった新一は、私にぎゅーっと抱きついた。

もはや日常茶飯事になっていたため、特に驚くこともなく、私も新一の背中に手を回して、抱き返した。

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極・吹雪姫 - ちょっとびっくりしたのが、弟の瑞紀(みずき)と私の「ミズキ」が被ったことだわね。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - ごめんなさい、本当に途中で泣きそうになったわ。「泣く」ですわ。泣いたページ。 (2019年5月2日 20時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - こいつらまだ小学生だった…!なんつー濃い恋愛を…!この小説すごく好きです!遥樹くんのちょっとした嫉妬がこぼれて、それを見てとても切なくなる。ヒロインの気持ちはよく理解できるけど、やっぱり遥樹くんがいちばん好きです! (2019年3月11日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
松野かほ(プロフ) - 遥樹くんの読み方を今初めて知った← (2019年2月13日 15時) (レス) id: 45fd1e6358 (このIDを非表示/違反報告)
みお - この小説好きです!正直言うと新一より遥樹くんの方が好きだったのでくっついて欲しかったなぁって思ってます() (2018年6月8日 19時) (レス) id: 0646f7c2e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやの | 作成日時:2018年3月1日 22時

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