【M先生の場合】 ページ17
私の学校には、女性徒にすっごくモテている先生が５人いる。
これは、その中の一人の先生と、私のお話。
学校に来るのが怖い。
教室に入るのが怖い。
クラスメイトと話すのが怖い。
そう感じ始めたのは、入学してすぐのことだった。
クラスメイトからいじめられたワケじゃない。
ただ、親の都合で引っ越しをし、友達が一人もいないこの学校に入学することになった。
校舎や先生は違うものの、中高一貫のこの学校ではもう高校の時には仲良しグループが出来ていて。
そこに一人入って馴染むスキルが私には無かったということ。
入学式、その後何日かは頑張って登校出来たけど、気付いたら私は保健室登校になっていた。
「おはようございます」
「……おはよ」
養護教諭の松本先生の「あぁ、今日も来ましたか」って顔を見るのはもう何度目だろう。
どうやらこの学校に保健室登校の生徒は他にいないらしく、毎日一人、このドアを開ける。
「今日の授業は、１限現文、２限化学、３限体育、４限美術、５限数A、６限英語です」
「そう。体育は？出るの？」
「……無理です」
「了解」
松本先生が時間割をメモして、職員室に内線をかけた。
おそらく、今日も「AAは授業をサボる」と連絡をしているのだろう。
その通りだから反論は出来ない。
「さて」
クルンを座っている椅子を引っ張ってこちらへ来た松本先生。
時々ケガをした生徒が来ると私は2台あるうちの1台のベッドに隠れるのだけど、その生徒との会話から松本先生がとても人気だということは重々承知していた。
だから、もし保健室登校がクラスの皆にバレていて、私が今後頑張って教室に行けたとしても、きっと松本先生目当てで保健室に行っていたって言われるんだろう、って。
それも怖い。
「そろそろ中間試験だから言うけど」
「……はい」
「毎日毎日ここで勉強してるのは偉いけど、出席日数もカウント出来ないし、このままだと留年です」
「……」
「そろそろ、教室に行ってみない？」
ニコって笑う松本先生の顔を正面から見ることが出来なくて、目を逸らす。
分かってる。
このままじゃいけないこと。
でも、でも、もう入学して１か月が過ぎた。
今から、何も無かったかのように教室に入って、仲良しグループの人達の中に入れないよ。
「何度も言ってるけど、別に友達が全てじゃないから」
「……」
「勉強しに来てるの。友達作りに来てるワケじゃないから」
分かってるよ。
でも、やっぱり、独りぼっちはやだよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cori(プロフ) - 古川さん» コメントありがとうございます！ええっ、そこまで言っていただけて嬉しいです…！実は私もこの5つの話の中で大野先生の話が一番好きで笑 だから余計嬉しいです！ (2019年8月11日 21時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
古川(プロフ) - 大野先生の話めっっっちゃ好きです……こういうのが読みたかったんです……私の需要を満たしてくださり本当にありがとうございます(スライディング土下座) (2019年8月11日 1時) (レス) id: ae72d41905 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - mayuさん» mayuさんありがとうございます(*^_^*)ほんと天邪鬼で手に負えませんね！笑 櫻井先生、もう少しお待ちください！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 二宮せんせー、ホントに天の邪鬼なんだから…でもそこがすき！(笑)櫻井先生の長編嬉しいです！楽しみにしています！！(^^) (2019年7月6日 21時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kana59さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととてもやる気出ます〜！！あとはタイトルさえ決まれば出せるのですが…お待ちください！ (2019年7月6日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cori
| 作成日時：2019年4月19日 21時
