第92訓 夕方に起きて一日無駄にしたわって思うけど、早起きしてもやることない ページ46
江戸で真選組が久々の登場にふざけ倒している所、京都では
「ねーーー」
「ダメです」
「まだ何も言ってないんだけど」
近藤達が先に京都を立った日から急に丸一日眠り、次の日若瀬達の心配をよそに完全復活をしたAはケロリと昼食を平らげていた。
「俺ならAさんのわがまま聞くと思ってるのかもしれないですけど、あなたの為ですから」
治ったからさっさと江戸に行こう、と言うのが目に見えていた若瀬は読んでいた本からちらりとも目線を上げる事なくそう切り捨てた。
「堅物がここにも」
「先生からオッケーでないと絶対にここから出しませんからね」
「ちっ」
「舌打ちしない」
いじけた様子で灰元の剥いたりんごを食べる。病室の中は平和そのものだった。
しかし、若瀬が根負けするのはこの3時間後の話である。
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明朝、真選組が京都を出てたった2日後
「そなたもゆくか。京都は寂しくなるの」
「大変お世話になりました」
「江戸をしいてはこの日の本を守ってくれたも。頼むぞ」
「この御恩は忘れません」
最後の謁見を終わらせると春の昼下がりは暖かかった。
「遅咲きだったね」
御所の椿の花は咲き乱れ、赤々と庭を飾っていた。
椿しかないその庭にもう雪の面影はない。
「茂々公あなたの大切な江戸は私が守ります」
「Aさん!江戸かなりやばい状況みたいです!」
騒がしく入って来た高木によって京都を慌ただしく立つ事となった。
皇室の船が特別に江戸まで送り届けてくれた。
「え!?見て見て!隕石!?君の名は的な感じになってる!」
「Aさんはしゃいでる場合じゃありません!あれは解放軍の砲撃です!早く合流しましょう」
「あー…先行っててやること出来た」
「え!ちょっと!」
若瀬が振り返った時には近くにいたAはもう居らず。
ビルから眼下の競り合いに飛び込んで行ってしまったらしい。
「副長にドヤされる」と若瀬達は頭を抱えながら追いかけるしかなかった。
身軽にビルの看板を飛び伝ってAが降りた先は
「ぎーんさんっ、なんか私が見る時いつもピンチじゃない?」
Aの刀は間一髪、銀時の首スレスレの敵の白刃を食い止めていた。
「A!お前いないから銀さん可愛い妹分がどっかでおっ死んじゃったかと思って心配してたんだぞ」
あちこちから迫り来る猛攻を背中合わせで対応しながら、悠長に離れていた間の出来事を話したりしていた。
「Aも大変だったっつーわけね」
「今の江戸の状況よりマシよ。まさかもう滅びそうだなんて。私の回復待てるわけもないわ」
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年8月27日 20時