第74訓 ぼーっと文章見てると一文目ばっかり読んでることあるよね ページ28
出張先発表の次の日
「下げ紐新しい隊服にぴったりですね」
「それで選んだんだよ」
早くも二番隊、五番隊、六番隊は支援者集めに各地へ向かってしまい御所の中には人が少ない。
留守番確定の一番隊は最も苦手な書類仕事をダラダラと進めていた。
「終わるまでお茶禁止って……」
「俺はお菓子禁止で、山崎さんが食堂の前見張ってます……」
秋山はティーセットを取り上げられ、灰元は食堂立ち入り禁止、深尾は竹刀と道着を取り上げられ高木をはじめとした他の隊士は携帯を取り上げられていた。
「私なんて掃除禁止です」
「清蔵さんだけ書類終わらせなくてもいいんじゃない?」
結局何かしら取り上げられたとて一番隊には腰が重い事は代わりなく、若瀬だけがテキパキと書類を読み進めている。
「しかも、総悟だけ外出とかズルくない?私も行きたい」
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御所からは少し離れた団子屋で、何やら筆談している男と普通に話している男が隣り合わせで団子を食べていた。
「やっぱりいやしたか終兄さん」
『隊士を一名処分した。Aちゃんと総悟くんの件を取引相手にリークしたのはそいつで間違いない』
沖田はAの話を聞いて、あの公家のクソ男が沖田とAが付き合っている事を知っていた事に違和感を覚えた。
真選組の金銭状況などピンポイントに弱みに漬け込んだ事も。
そのことに気がついてすぐに内部の裏切り者を処分する役目の斉藤終に相談していたのだ。
そして、もとより斉藤が目をつけていた隊士を適切に排除。
『どうする?まだ生かしてはいるけど』
「あー、二度と真選組に近づけないくらいの痛い目みして逃しちゃってくだせぇ」
殺してもいいくらいの心境ではあったが、処理理由と内容は近藤さんに報告しなければならない為死体が上がると困るという判断だった。
『それと、Aちゃんに乱暴したっていう男だけど、殺しちゃう?』
スケッチブックに書かれてるとは思えないほど物騒な言葉が並ぶ。
その提案に沖田は驚くことなく返事をした。
「俺も考えたんですがねェ、ニュースになったらAの耳に入っちまう。と、俺がやったのバレちまうんでさァ」
『しばらく出てこれない程度に捜査資料の書き換えしておこうか』
「あーそれでお願いしやす」
京都の奉行所に内通でもできるのか、それとも忍び込むのかは沖田は知らなかったが、斎藤がきっちりこなす男であることは分かっていたので特に深掘りはしなかった。
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年8月27日 20時