第68訓 冬に降る真実 ページ22
「______それで、スマホ握りしめ…て途方に暮れてたら、姫様が来て……」
Aはあの男を突き出した時から胸が空いて満足した気がして居た。それは"気がして居た"だけだったのだ。
ことの顛末を一つずつ話している間に、自分は相当限界に近かったのだと理解したらしい。
安心か、追体験か、Aはあの屋敷を出てから初めて泣いた。
そんなAの話を沖田は奥歯が割れそうなほど噛み締めて聞いていた。
Aは無意識のうちにこの御所に着いてすぐ時計を置いて居た。
天子の屋敷に居る間も何度もスマホで時間を確認するそぶりがあった。
そして、沖田に会うことを1番恐れていた。
それに見かねた信女が痣を隠すことを提案したのだ。
「A、手ェ出せ」
沖田はどこから出したのか赤いしめ縄をAの手に巻き付ける。沖田らしからぬ緩い締め方で。
「これは俺がつけた跡、いいかィ」
跡なんぞつきっこない緩さでもその赤はAの白い肌によく映えた。
「もう、いっつも…どこから出して来んのよ」
「ドSの必需品だろーが」
クスリとやっと笑ってみせるAの顔は涙で汚れて居たが、それがより一層沖田を安心させた。
(いつもみてぇに笑って誤魔化されるより、辛かったって泣きつかれる方がまだましでィ)
それでもなお底の腹立たしさは拭えなかったが、ひとまずはぎゅうと腕の中にAを押し込め存在を確かめる。
そのまましばらく沖田の胸に顔を埋めてAは泣いた。
その間沖田は足の上にAを抱えただ黙って抱きしめ続けた。
「まだ怒ってる?」
「あぁ」
「もしかして酷くされる?」
「あぁ」
「ひぇ」
可愛い問いかけに顔がにやけたが沖田の予定は変わらない。
会う前からずっと、決めてた事だ。
久しぶりのAに嫌と言うほど自分の存在を刻み込んで、その体に二度と同じことをしないと誓わせるのは既定路線。
「覚悟しろ。自分だけで何とかしようなんて気が二度と起きねぇ様にその体にわからせてやる」
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このあと結構お気に入りのシーンですが残念ながらR 18シーンですので
「真選組血風帳 裏」のほうに上げます。作者ページからご確認の方お願い致します。
対応話名は「裏68訓ごめんなさいで済んだら真選組はいらない」になります!
すけべが大丈夫な方は是非足を運んで頂けると嬉しいです
第69訓 そして時の流れはまた一つの川へ→←第67訓 黒蝕決して他に侵食さるることなかれ
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年8月27日 20時