真選組血風帳弍【沖田総悟】 (ページ21)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:25,386 hit

第67訓黒蝕決して他に侵食さるることなかれページ21

「私の部屋、こッ……」

佐々木邸とは違い和室の簡素な部屋に沖田を招き入れるAが襖を後ろ手に締めた瞬間の出来事だった。

壁掛け時計が落ちる。

沖田がAの襟ぐりを掴み壁に叩きつけて唇を奪ったからだ。

「んぅっ、はっ……ぅぅっ、んッッぁ、んぅ」

ぐちゃぐちゃと音を立てて唾液が混ざり合う。
そのうちAの膝がカクリと力を失ったタイミングで間一髪沖田がその腰を抱きとめた。

「もう帰ってこねーから忘れろ？んなテキトーなこと言いやがったのはこの口かィ」

「ごめッあ、のと……っんぅ、きはッ」

謝る隙も与えず口内を蹂躙し続け、口を離したかと思うと敷きっぱなしだった布団にAを投げた。

「俺のもんだろ、変わってねぇか確認してやらァ」

瞳孔の開き切った目でAの帯を乱雑に剥いでいく。

大きな抵抗もせずなすがままされて居たAの体は少し痩せたが変わってない様に見えた。一見

「……」

「ひゃっ」

背中をツーと撫でる指がくすぐったい。

「化粧落とし」

「え？」

「あるだろ。出せ」

有無を言わせない言い方に文机にあったポーチからシートタイプのメイク落としを手渡す。

「残念だったな、Aのことはおめぇより詳しいんでィ。知らねぇだろーが、お前の背中のには６つ黒子がある。いやあった」

そう。一見何も変わって居ない様に見えるだけでAの体は性能のいいファンデーションが塗られていた。

あったはずの黒子がない事を沖田は見逃さない。

そして、その下には

「は……俺ぁてっきりキスマークでも隠してるのかと」

時間が経って変色したあざが幾つか現れた。
そして腕など所々に縄の食い込んだ跡も。

痣は背面に偏っていて皮膚の柔らかい体の前面はミミズ腫れの治りかけのようなものが少し。

「あー、へへこれはその転んで見っともないから総悟に会う前に信女に隠してもらった、的な？」

「誤魔化すんじゃねェ。二度と無茶出来ねぇ様に腱でも切り落としてやろーか」

ここまで来てまだ、愛想笑いで誤魔化すAに沖田の怒りは頂点に達したらしい。

「あ〝ーーまて、今なら本当にそのくらいやっちまいそうだ」

額に手を当てて自分で自分を落ち着かせている沖田にAの手が伸びる。

「総悟…」

「はぁ……ったく」

まだ怒ってるのは確からしいがさっきとは打って変わって優しい手つきで伸ばされた手を掴む。

「嘘つかず、全部話せ。今度こそ、何も隠さず」