君と過ごした時間は【長谷川慎】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:31,329 hit

time 3 ページ4

なんでもない日を振り返ることなく送っていると、いつの間にか春を終えようとしていた。

窓の外を眺めてみても、ずっと雨が降り続いている。

…そういえば一昨日くらいに梅雨入りしたってネットニュースか何かに書いてたっけ。

じめじめして、蒸し暑くて、制服が肌に密着して気持ち悪い。

気分が下がる時期NO.1だと俺は思ってる。

そんな時でも、君の弾けっぷりといったらピカイチだった。

A)長谷川くん！おはよう！

慎)…おはよう

A)暗いなぁ、明るくいこうよこんな時こそ！

慎)周りが暗ければ気分も下がるタイプなの、俺は。

A)へ？なにそれ

慎)俺の性格の話？
てかびしょびしょじゃん、傘は？

A)差してきたよ！

慎)……それで？

A)？うん！

…傘差すのがこんなに下手な人っているんだ。

そう思って、持っていたフード付きの上着を貸した。

A)え、なんで？

慎)…自分の制服見てみなよ。

A)へ？……あ、

やっと気付いた。

制服濡れて下透けてんの。

慎)…風邪引いちゃ困るでしょ。

A)…ありがとう！

いそいそと上着を着た彼女と一緒に教室に向かった。

…ほっぺたがほんのり熱いのは気の所為だと自分に言い聞かせながら。