【あんスタ】dilemma＿＿【悪女】

act.９ ページ10

泉side

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

泉「はぁ…………」







授業開始のチャイムはとっくになっていた。
だけど俺は、ガーデンテラスの一席に座っていた。

(……さっきのは、確かに…Aが怪我したって聞いて不安とか焦りとかあったのかも知れないけど)


＿＿＿何か違和感がある…
そう感じていた。



泉「大体、階段から落ちるとか…不自然すぎでしょ」

ぼそっとそう呟いたとき。



あんず「瀬名先輩〜！こんなところで、どうしたんですか？」


パタパタと駆け寄る足音が聞こえ、次の瞬間には目の前にあんずがいた。
(あんずか………今は誰にも会いたくなかったんだけど…)




泉「何？何か文句でもあるわけぇ？あんたこそ何してんの、授業中でしょ」


そう言うと、何が可笑しいのか、笑い出すあんず。


あんず「私は今、自習なんです〜♪窓から瀬名先輩が見えたんで〜、来ちゃいました」



(何それ、チョ〜うざいし面倒くさいんだけど……)

とにかく今は一人にしてほしくて、

泉「あっそ。けど、俺、今はあんたと話してる暇無いんだよねぇ〜？帰ってくれない？」


出来るだけ素っ気なく返した。
はずだったのに、あんずは笑みを溢したまま更に近づいてくる。



あんず「……そう言えば、A先輩って階段から落ちちゃったんですよね〜？」



泉「ッ……喧嘩売ってんの、、」



あんず「そんな怒らないで下さい♪………………でも調子乗ってるからあんなことになるんですよ」






あんずの声のトーンが低くなる。
(調子乗ってるって……どういうこと？)






泉「……はぁ…何が言いたいのぉ…？」







あんず「まあまあ♪そんなことより……実は私、ずっと瀬名先輩が好きだったんです！付き合ってくれませんか!?」





口を開いたかと思えば、唐突にそんな事を言い出した。
(こいつ、頭おかしいんじゃないの？)





泉「あのねぇ。何で俺があんたなんかと付き合わな＿＿＿＿」


あんず「付き合わない、とは言わせませんよ？A先輩は今でも酷い状態なのに……次はどうなるか知りませんよ〜？」




あんずが俺の声を遮って嘲笑うようにしてそう言った。
その言葉に、違和感の正体が見えた気がした。

(まさか………？)




あんず「泉センパイと付き合うからA先輩は不幸になるんです♪」



泉「ちょっと…！あんずっ、待ちなよっ…」






あんず「答えは明日聞きますから♪」



俺はただ、去っていくあんずを見送るしかなかった。

act.１０→←act.８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す