歌姫ウタの兄 (ページ5)

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第四楽章ページ5

(数日後)

「ねぇ、A…シャンクス達が戦い終わるまで部屋に居なきゃいけないなんて、暇だね」

けど、部屋から出ても俺達は足でまといになるだけだから仕方ないといえば仕方ないんだけどね

『そうだね。けど、俺達に怪我させない為に言ってくれてるんだ。愛されてるね、俺達』

船番の時は歌えるけど、海の上で戦っている時に歌ったら居場所がバレちゃうから歌えないのは退屈だなぁ…

「そっかぁ…そう思うと凄く嬉しいね、A」

まぁ、きっと戦場に出てもシャンクス達なら守ってくれるって信じてるけどね。

部屋の外からバタバタと足音がする。俺はウタを守るように背中の後ろへと隠した

『ウタ、近くに敵がいるかもしれないから扉は絶対に開けちゃダメだ』

「う、うん」

すると、赤髪海賊団では無い人物が扉を開けて入ってくるビジョンが見えた

『ウタ、俺から離れないでね』

扉が開き、男が3人入ってきた

「なぜ、海賊船に子供が!?誘拐されたのか？」

「女の子の怯え方からして、その可能性が高いだろう」

「なら、保護しなければ」

3人で何かを話し合ってから、俺達に近づいてきた

『ウタに近づくな。失せろ』

俺がそう言っても、男達は距離を詰めてきた

「もう大丈夫。海賊に誘拐されて怖かっただろう？安心してくれ、お兄さん達は正義の味方なんだ」

そう言って、俺とウタの腕を掴んだ。そして、ウタがその男の腕に噛み付いた。

「離して！私は赤髪海賊団音楽家のウタ！誘拐なんてされてない!!」

ウタが、そう言うと腕を噛まれた男がウタのことを殴ろうと腕を振り上げた。俺は、その瞬間がまるで世界が止まったかの様にゆっくりとして見えた

『ウタに、手ェ出すな!!!』

そう言った瞬間、男達は意識を失ったように倒れた

『ウタ！怪我してない!?痛いところはない!?』

俺は、男達が倒れたことよりもウタが怪我をしていないかが心配だった

「A…怖かったァ!!けど、私はシャンクスの娘だもん！絶対に泣かない!!」

そう、涙目になりながらいつもと変わらない様子のウタを見て安心した

『うんうん。頑張って偉いね、ウタ。それでこそ、赤髪海賊団音楽家のウタだ』

ウタを慰めていると、ドタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。気配的に、赤髪海賊団の人達だ

「A、ウタ！無事か！？」

シャンクスとホンゴウさんにライムさん！

「…シャンクス〜!!」

ウタは怖い思いをしたせいか、緊張がほぐれてシャンクスへと勢いよく抱きついた