第５２振 寝顔←この感情は…(加州side) ページ8
加州side
ーー俺に寄り添う形で眠るA。規則正しい寝息。女神なんだとか、忘れそうになる。歳より幼く見える寝顔に、ふとこう思った。“愛しい”と…。
加州「…人の気も知らないでさ…。頼られるのは、嫌いじゃないけど。…Aは、誰が好きなのかな??」
A「…ん…ぅ…」
あぁもう、可愛いなぁ。口元を見ると少し開いた唇に、吸い寄せられそうになる。…駄目だ。Aは好きな人が居るん、だよね??ハーデスって神??いや、そうじゃない。あの子と呼んでる審神者の事か。…はたまた、刀剣の中に居るのか。
加州「…やめよう。憶測で考えるのは」
寝付こうとすると、くっ付いてきた。
A「…ん…きよみつ…」
なんなの、この人は。俺を悶え死にさせたいの??寝言で俺の名前呼ぶとか。頭を撫でてみる。サラサラの髪。シャンプーの良い香り。もう、本当に可愛い。
加州「さて、俺も寝なきゃ」
明日の内番に響いてしまう。
加州「おやすみ、A」
額に口付けをおとす。これくらいは許されるだろう。本当に、可愛い。心臓の早鐘を無視し、目を瞑る。少しばかりすると、睡魔が襲った。これで寝られる。そう思った。
A『清光。私ね、ーーと結婚する事になったの。…貴方には、まず最初に報告しようと思って』
これは夢だ。そう確信している。相手の顔も名前もわからないんだから。一瞬にして景色が変わり、Aが誰かの隣に立っていた。
A『清光、今までありがとう』
真っ白の…ウエディングドレスと言うものに身を包み、幸せそうな笑顔のA。その相手が、俺なら良いのにとさえ、思えてくる。
A『清光は、私にとって家族以上の存在だった。時にはお兄ちゃんのように、時には弟のように思えて。…ゴメンね、上手く気持ちを伝えられないや』
泣きそうな顔。ウエディングドレスは花嫁衣装だと、なにかの本で見た。行かないでほしくて手を伸ばすと、誰かに捕まれた。…誰の手だろう??うっすらと目を開けると、Aが起きていて、俺の手を握ってくれていた。
加州「…A…??」
A「そうだよ。大丈夫??泣いてたけど」
目元を触ると確かに泣いていたらしく、涙の痕があった。
加州「大丈夫。起こしちゃったかな??それなら、ゴメン…」
A「大丈夫だよ」
ニコッと笑顔を向けてくれた。
A「私の名前かな??呼んでたみたいだけど。…私は何処にも行かないよ」
ーーAには、本当に敵わない。…お互い安心して、もう一度寝直した。
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作者名：葦原 さくら | 作成日時：2018年4月13日 9時
