第８０振 傷だらけ←打つ手はないのか…(三日月宗近side) ページ36
三日月宗近side
ーー襖の向こうが騒がしい。主が助けに来たのか??いや、これは…あの時万屋で出逢った娘のものか!!あの娘になにかあれば、俺は主に顔向け出来ぬ。…なにがなんでも、此処から出なければ。
鶴丸国永「三日月、この霊力…じゃない。この小宇宙とやらは、主の…」
三日月宗近「あぁ、なんとしても此処から出たいが…」
「貞ちゃん、今剣くん!!」
なにが起きている…??その声と共に、開かれる襖。呪符も剥がされたが、忌々しくも身体がまともに動かせない。それは鶴たちも同じだった。座り込んで、此方を見る娘の顔が、ホッとしたように見えた。…この力はなんだ??主から審神者の座を奪った女に、これ程の力があったのか??
審神者「…あらら、其処から出ては駄目よ??」
三日月宗近「見習い、其処の娘になにをした!!」
審神者「簡単よ。この子は春…。戦女神の力の前では、こうなるのも当たり前」
加州「…成る程ね。けど、アンタは戦女神じゃない。なのに、荷葉に膝を付かせる程のこの力は、何処で手に入れたの」
見習いは声に出して笑いだした。…なにが可笑しいのだ。
審神者「ある人…いえ、ある神に貰ったの。“俺は触る事が出来ねぇけど、アンタなら出来るだろ。喜劇を見せてくれよ??”ってね」
娘の顔付きが変わった。
「…その神は、なんと名乗ったのですか??」
審神者「ーーカイロス」
その名を聞き、娘の小宇宙が怒りに変わる。
「流石、半神半人であるあの方のする事ですね。お祖父様に堕とされて、当然。このような小娘に手を貸す等」
ゆっくりと立ち上がる娘に、少しばかり違和感を感じた。
「ーー冥界に堕ちる時です」
先程までの暖かかった小宇宙が、一気に冷たいものへと変わった。
『その者の処罰は、我々にお任せ下さい』
『貴女様が、お手を汚す必要はございません』
「ーー還ったのではなかったのですか??」
何処からともなく聞こえた声に、小宇宙が穏やかになった。
『あの神の小宇宙を感じ、嫌な予感がしたので戻って参りました』
『貴女様の命に背いた事、なんと詫びればよいか…』
「…助けに来てくれたのでしょう??ならば、詫びは要りません。この小娘に、裁きを。タナトス、ヒュプノス」
鎧かなにかに身を包んだ男が２人、現れた。
三日月宗近「神、か…」
三日月「荷葉に仕える、眠りの神と死の神だ」
娘の本丸の俺が、そう答えた。…主から聞いた事があったが、まさか本物に会えるとは思わなかった…。
第８１振 神←堕ちた神等に(タナトスside)→←第７９振 折られた刀←私は…もう見たくなかったのに
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作者名：葦原 さくら | 作成日時：2018年4月13日 9時
